TwitterやFacebookから流れてくる情報を雑誌スタイルで確認できるようにするiPadアプリ「Flipboard」の提供が7月21日(米国時間)に始まった。iTunes App Storeから無料で入手できる。

同アプリを提供する米Flipboardは、これまで動向が注目されていたスタートアップだった。創業者の1人Mike McCue氏は、Microsoftが買収したTellmeを過去に成功させている。もう1人のEvan Doll氏はAppleでiPhone担当のシニアエンジニアだった。この2人の組み合わせにKleiner Perkins Caufield & Byersが投資を決めたのだ。なにかユニークなiOSアプリが出てくるという期待が高まっていた。

McCue氏はFlipboardを「ソーシャルマガジン」と説明している。TwitterやFacebookからユーザーが受け取っているツィート、リンク先の記事や写真、ステータスアップデートなどをアグリゲートし、雑誌のようなレイアウトにまとめて表示する。Twitterストリームの雑誌化というとWebではPaper.liやTwittertim.esなどが存在するが、Flipboardは名前に"Flip"が含まれているように、タッチ操作できるiPadの機能を活かして雑誌感覚で読めるのが特徴。ページレイアウトが雑誌形式に近いというだけではなく、表紙や目次ページも用意されている。

動的に変化する表紙ページ

Twitterストリームがリッチなレイアウトの情報ページに

時間と共に情報が上から下へと流れていくユーザーインターフェイスでは、ストリームが増え流れが速くなるほどに重要な情報を見逃しやすくなる。FlipboardはTwitterで頻繁にインタラクトしている人を優先するなど情報を分析しながら雑誌化するという。ひと目でページを見渡せる雑誌レイアウトと、重要な情報をひろい上げる情報編集の両面で、ソーシャルサイト・ユーザーの効率的な情報把握を手助けする。

逆に普段ソーシャルサイトをあまり利用せず、数人としかつながっていないというような状態だと、Flipboardがつくり出すソーシャルマガジンは内容が薄くなってしまう。そうしたユーザーでもFlipboardが用意している「FlipNews」「FlipSports」「FlipFinance」などのセクションを追加すれば、自分が興味を持っている分野のリアルタイムのWeb情報を雑誌感覚でチェックできる。またFlipboardからTwitter検索してピープルやリストを追加することも可能だ。

実際にFlipboardを使ってみたところ、雑誌に近いリッチなレイアウトは情報を把握しやすい。インラインで動画が再生されたり、ワンタッチでコンテンツ共有やリツィートができるなどWebメディアの機能も上手く組み込まれている。ただしWeb情報のアグリゲータなので、コンテンツの配信を制限しているWebサイトでは記事が要約の数行のみになり、全文を読むにはオリジナルサイトに移動する必要がある。またコンテンツの優先付けやフィルタリングが現時点では機能していない模様だ。Flipboardは21日(同)にセマンテックデータ分析技術のEllerdaleの買収を発表した。編集面ではEllerdaleの技術の統合を待つ必要がありそうだ。

Flipboardは今後、FlickrやYelpなど他のソーシャルサイトにもサポートを広げる計画だという。無料提供も継続する模様で「雑誌と同様に、(ソーシャルマガジンには)広告の様々なチャンスがある」とMcCue氏は述べている。