ファイルのバックアップと復元

最後にシステムイメージやパーティションイメージではなく、ファイルやフォルダ、電子メールやアプリケーションの設定情報といったバックアップと復元にも触れておこう。選択できるのは特定のフォルダを対象にした「データ」、Windows 7の設定情報を対象にする「システム状態」、受信した電子メールや電子メールクライアントの設定を対象にした「電子メール」、Windowsアプリケーションの設定情報を対象にした「アプリケーションの設定」の四種類(図19)。

図19 「ファイルバックアップ」からは異なるカテゴリを対象に、四種類のバックアップを実行可能

それぞれの手順はドライブやパーティションを対象にしたバックアップ、および復元と同じなので、ここでは各対象の特徴だけ解説しよう。「データ」はユーザーが指定したフォルダを対象にするバックアップ・復元機能だが、ポイントはいくつかのカテゴリが事前に用意されている点。通常のフォルダに加えて「ドキュメント」「ファイナンス」「イメージ」「ミュージック」「ビデオ」と五つのカテゴリを設け、ドキュメントであれば拡張子「.doc」「.docx」といった一般的に使われる拡張子があらかじめプリセットされている(図20)。

図20 フォルダやカテゴリ単位でバックアップ・復元を行う「データ」

また、これらのカテゴリはユーザーが独自に追加することも可能だ。Windows 7上で使用した拡張子を好みに応じて追加できるため、特定の作業に使用する拡張子を登録し、カテゴリを作成すれば、場面に応じたバックアップ・復元も行える(図21)。

図21 カテゴリに含める拡張子は編集可能。ユーザー独自のカテゴリを設け、

特定の拡張子を登録することもできる

「システムの状態」はWindows 7のシステムファイルやデータベースを対象にバックアップおよび復元を行う。その対象に含まれるのはブートファイルや保護対象となるシステムファイル、レジストリやCOM+クラス登録データベースがバックアップ対象。Windows 7標準機能である「システムの復元」に似ているが、同機能を用いず、Acronis True Image Home 2010で、すべてのバックアップデータを管理したいときに用いるとよい(図22)。

図22 Windows 7のシステムファイルなどを対象にした「システムの状態」。機能的には「システムの復元」に類似している

「電子メール」は文字どおり電子メールクライアントで送受信したメッセージや設定がバックアップ対象となる。サポートしているのは、Microsoft Outlook、Microsoft Outlook Express、Windows Mailの三種類で、残念ながらWindows Liveメールはサポートしていない。もっとも、電子メールの送受信履歴や環境は、コンシューマユーザーにとって非常に重要なデータだが、最近では特定の電子メールクライアントを使うよりも、Webメールサービスを使う方も増えているので、Windows Liveメールをサポートしていなくとも、大きな問題にはならないだろう(図23~24)。

図23 「電子メール」では、Microsoft Outlook/Outlook Express、Windows Mailの設定とメッセージのバックアップ・復元をサポートしている

図24 「アプリケーションの設定」では、インストール済みアプリケーションの設定情報を対象にバックアップ・復元対象を実行できる

図25 同機能で対象となるアプリケーションリスト。英語版の情報なので日本語版で使用できるかわからないが、判断の指針となるはずだ

最後の「アプリケーションの設定」は、Windows 7上で動作するアプリケーションの設定情報を対象にバックアップ・復元を行うというものだ。バックアップ対象にアプリケーション本体は含まれていないので、OS再インストール時にバックアップデータを用いるには、事前に同一のアプリケーションをインストールしなければならないが、OS再インストール時には不要なデータを残したくないものの、使用頻度の高いアプリケーションの設定情報は活かしたいと考える方にとっては有用な機能となる。

しかし、「アプリケーションの設定」から操作し、列挙されるのは、至極当然ながらインストール済みのアプリケーションに限られるため、ご自身が使っているアプリケーションが対象に含まれるか気になる方もおられるだろう。筆者が独自に調べた限りでは、米Acronis社のKB(Knowledge Base)に、Acronis True Image Home 2010がサポートしているアプリケーションの一覧がまとめられていた。あくまでも英語版を前提にしたものであり、日本国内ではリリースされていないパッケージも含まれる。そのため、Acronis True Image Home 2010日本語版でも同様のサポートを受けられるか保証はないが、同機能を活用する上で指針となるはずだ。是非一度参照して欲しい(図25)。