前回は「Acronis True Image Home 2010」関する概要とインストールを解説した。今回は早速、Windows 7環境のバックアップを解説しよう。Acronis True Image Home 2010は、様々なバックアップ形式を用意しているが、基本となるのはWindows 7を導入したホストドライブを対象にした、完全/差分/増分バックアップ機能。完全バックアップとは文字どおりホストドライブを、丸ごとAcronisバックアップイメージ(拡張子「.tib」)としてファイル化するものだ。

ゼロからはじめる「Acronis True Image Home 2010」 - 最新版2010の新機能とインストール

差分バックアップは一度作成したバックアップデータを元に、変更や追加された部分のみをバックアップする方式のこと。そのため日頃のバックアップ作業は短時間で済むが、差分バックアップを繰り替えることでバックアップ容量が増えていくことになり、一定期間ごとに完全バックアップを行わなくてはならい。

増分バックアップも一度作成したバックアップデータを元にするが、差分バックアップとは異なり、変更および追加データのみをその都度バックアップするため、バックアップ時間が増すことはないものの、復元時はすべての増分データが必要となるため、最新データを取り出せなくなるという問題がある(図01~02)。

図01 差分バックアップの大まかなイメージ。差分データは常に増えていくため、バックアップスピードは遅くなってしまう

図02 増分バックアップの大まかなイメージ。ちょうど更新データを積み重ねていく様を思い浮かべるとわかりやすい

どちらが優れているという訳ではないが、現在主なバックアップツールでは、この3形式をサポートし、「Acronis True Image Home 2010」も目的に応じて、バックアップ形式を選択することが可能。加えて自動統合機能を備えることで、バックアップ回数や保存日数、サイズによってバックアップデータを自動的に統合することができる。それでは、基本的なバックアップ手順を一通り見ていこう。

簡単にバックアップする「Acronisワンクリックバックアップ」

図03 デスクトップにある「Acronisワンクリックバックアップ」をダブルクリックする

最初にチェックするのは「Acronisワンクリックバックアップ」。文字どおりワンクリックでバックアップを実行するツールだ。初めてAcronis True Image Home 2010を起動する時や、デスクトップに作成されたショートカットアイコンをダブルクリックすると、自動的にシステムパーティションとMBR(マスタブートレコード)のバックアップイメージを作成し、最適なバックアップ場所を自動的に検出してバックアップを実行するというもの(図03~07)。

図04 自動的にシステムパーティションとMBRを対象にバックアップイメージファイルを作成する

図05 バックアップ準備を終えるとバックアップ先を自動検出する。画面の例ではDVD-RWドライブをバックアップ先とされたため、メディアの挿入をうながされた。ドライブにDVD-Rメディアを挿入して<OK>ボタンをクリックする

図06 後はバックアップイメージファイルの書き込みが行われ、

完了を示すダイアログが起動すれば作業完了だ。<OK>ボタンをクリックしてダイアログを閉じよう

図07 DVD-RをWindows 7から参照すると、ご覧のようにAcronisバックアップイメージファイルが書き込まれている

バックアップ場所はユーザーが指定することも可能だ。「Acronis True Image Home 2010」のメイン画面から「Acronisワンクリックバックアップ」を起動することで、保存先やスケジュール設定が行えるので、適切な設定を行おう。ちなみに「Acronisワンクリックバックアップ」で実行できるのは、システムパーティションの完全バックアップのみ。差分/増分バックアップのスケジュールを設定はできないので注意して欲しい。

また、Windows VistaのBitLockerドライブ暗号化によって保護されたボリュームのバックアップも不可能である。「Acronisワンクリックバックアップ」はあくまでも緊急もしくは簡易的なバックアップ機能として活用して欲しい(図08~14)。

図08 「Acronis True Image Home 2010」のメイン画面から「ツールとユーティリティ」→「ワンクリックバックアップ」とクリック

図09 これで「Acronisワンクリックバックアップ」の設定画面が開く。保存先を変更するには「アーカイブの場所に」に書かれた青いリンクをクリック

図10 フォルダ選択ダイアログから任意のボリューム、もしくはフォルダを選択して<OK>ボタンをクリック

図11 これで設定変更となる。<実行>ボタンをクリックして一度バックアップ操作を行おう

図12 タスク操作に必要なパスワードの入力をうながされるので、「パスワード」にユーザーパスワードを入力して<OK>ボタンをクリックする

図13 先ほどと同じく「処理の進行状況」ダイアログが起動し、バックアップが実行されるが、「ターゲット」が異なっている点に注目して欲しい

図14 完了を示すダイアログが起動すれば作業完了だ。<OK>ボタンをクリックしてダイアログを閉じよう