今回鑑賞してみたのは、あらかじめ用意されている3Dソースの映像と、通常の2D映像をソフトウェア上で3D変換したものだ。変換用には実写とアニメの双方を利用してみた。

いろいろ視聴してみた結果、全体的に「飛び出している」感はあまり得られなかった。ただしこれは立体的に見えないという意味ではなく、"奥に向かって世界が広がる"感覚なのだ。前景と背景の間には空気感があり、奥行きのある背景はきちんと遠くへ続いている実感がある。見え方には、ソースの特性も関係するだろう。3Dを活かすために、奥から手前に向かって飛んでくる物体などを多用しているソースならば、おそらくもっと「飛び出している」と感じられるだろうという手応えはあった。

3Dソースの映像をWindows Media Playerなど3D対応していないプレイヤーで再生した場合、そっくりだけど少しだけ違う映像が左右に並んでいる。左目で見た場合の映像と右目で見た場合の映像をそれぞれ用意し、そのわずかにズレた映像をソフトウェア的に合成することで立体視を実現しているからだ。

ブレた映像が、視聴メガネを通すと重なって見える。写真ではメガネ内部が非常に暗いが、実際の視聴時には暗さは感じられない

立体視非対応のプレイヤーで3Dソースを再生すると、左右用の映像が並んでいることがわかる

用意されたサンプル映像は2種。片方はゴルフのレッスン動画で、広々としたグリーンの奥行きと、手前に立つゴルファーとの差がはっきりとわかった。ただし、ゴルフ場にいるように感じるというのとは少し違う。人間の目でもカメラでも本来ピントは1点に合うのに対して、3Dでは全体にフォーカスされるからだ。どこもかしこもくっきりと見えている状況は自然な視界とは違い、なんだかCGの世界に入ったような感覚を持った。この辺りは、ソースの作り方とともに、見る側の慣れの問題もありそうだ。

「TriDef 3D Ignition」から起動した場合のみ3D表示になる

もう1つのサンプルは、3D映像の特性を見せるために作られたもののようで、遠景の上にCGの紙飛行機が行き来するものをベースに、様々な風景が挟み込まれている。特に立体感が得られたのは、水族館の大水槽を映したものと、動物園の風景と思われる大型の鳥のいる光景だ。これらは最奥に壁などがあるためそこで奥行きが途切れ、手前に向かって段階的に物体が存在するため、数枚のレイヤーを重ねたように遠近の位置関係が把握しやすい。どこまでもくっきりとした光景が続いて行く違和感も少なく、鮮明な大水槽を泳ぐ魚の立体感はなかなか面白かった。

また、DrectXで作られた3Dゲームは「TriDef 3D Ignition」に登録し、ここから起動した場合だけ3D表示になる。元々がCGだけに違和感も少なく、立体感が素直に楽しめた。

同じゲームを3D表示した場合と2D表示した場合の違い