考察

ということで、Previewから大分時間があいてしまったが、正式版レポートをお届けした。とにかく、AMDとしてはやっとCore i7をCatch upできる製品が出現した事は大きいだろう。これを$295とかで販売するというのは利幅的にどうよ? という気はしなくもないが、ユーザーからすれば喜ばしいところだ。流石にCore i7-870/940に追いつく、というレベルにはまだ遠いが、Core i7-860/930には完全に並んだ、と考えていいだろう。まぁ市販価格的にはCore i7-860/930の方が微妙に安くなっているので、割高/割安を論じるのは難しいのだが。

それと、NB/HTLinkの2.4GHz駆動は、予想以上に効果があったことは間違いない。これ無しではi7-860はともかくi7-930にはちょっとギャップが大きいのだが、これのお陰で確実にギャップが縮まったのは確かだ。これをオーバークロック動作とするのかどうかは微妙であるが、普段はオーバークロック動作を絶対しない筆者であっても、この設定だけはしてもいいかな? と思う程度に魅力的である。消費電力の増分もごく僅かだからだ。

ただ、いまのところこの動作がサポートされるのはAMD 890FXチップセットのみ。AMD 790シリーズとかAMD 890GXでは使えないことと、AMD 890FXがハイエンドに位置づけられ、結果マザーボードも高価格なものに限られているのはちょっと残念である。この分を勘案すると、システムとしての価格はCore i7-860あたりの構成と比べて1~1.5万円ほど高くなってしまうからだ。とはいえ、6コアで最大3.2GHz駆動というスペックが、割と現実的な価格で入手でき、しかもそれなりに性能アップが期待できるこのPhenom II X6は、お買い得感は随分高いというのが、テストを終わっての筆者の感想である。