ATOK 2010では、バリューサービスと呼ばれるATOKのオプションアップデータがユーザーに提供されている。ATOKユーザーは、これらのアップデータがあるとポップアップでインストールするか否かを決めることができる。変換時の候補にWeb上のインターネット用語などとりこむことも可能な「ATOK ダイレクト」や各種辞書など、日々快適になっていくのを実感できる。文字入力という極めて頻繁に使用される機能において、快適なアップデートが行われるのはうれしいものである。

今回筆者にポップアップしてきたのは「ATOK Pad」。語感からいうと、いま流行のあれな感じもしないでもない。ポップアップに導かれるまま、インストールしてみることにした。当然、ATOKユーザーでないとこの機能は使えないのであらかじめご了承いただきたい。ダウンロードしたが、当面何の変哲もない。確か[Ctrl]キーとどこかで見たような、「コン、コン」と[Ctrl]キーを2回。すると、なんだこれは!突然ATOKらしからぬ画面が全体を覆う(図1)。

図1 ATOK Pad起動画面

初回起動時には、使い方が画面中央に書いてある。筆者は触ってから機能を確認する人。つまりマニュアルを最初に読まない人に属するのだが、これだけシンプルに中央に配置されていると読まざるを得ない。以下のようなシンプルなものである。

1.Ctrlキーを2回押すだけで呼び出すことができます。
2.ESCキーですばやく格納することができます。
3.入力した文章は後で参照可能です。
4.入力した文章をそのままWeb検索できます。

これら4つの使用法で、何となくこのアプリケーションの個別の機能は理解できるのだが、いまいちピンとこない。それは、類似するアプリケーションをあまり触って無いからなのではないか、と筆者は直感的に思うのだ。UIを見た瞬間に右脳で把握できてしまうソフトは、似たようなソフトを過去に使っている証拠なのである。シンプルなのに、使ってみないと右脳で把握できないソフトはたいてい面白い。早速使ってみよう。

Ctrlキーを2回

普段の作業中に咄嗟に何かをメモする必要が出てきたと仮定してみよう。別の作業との格闘中に上司が突然、長く覚えにくい指示を後ろから口頭で出してきた。どちらも大事な案件である。キーボードの手を止めることはしたくない。仮に手をとめたとして、何か別のアプリケーションをマウスやキーボードを使って起動してメモする。そんな具合であろう。そんな時に[Ctrl]キーをコンコンと2回叩き、そのまま必要なキーワードもしくは、短い文章などを入力してメモするとよい。マウスを一度も使うことなく即座にメモ入力が可能だ。

[ESC]キーですばやく格納、もできるのだが、呼び出し時と同様に[Ctrl]キーを2回押してもデスクトップ画面へと抜け出せる。筆者は断然[Ctrl]キー2回のほうがシックリくる。このATOK Padの開閉は実にスムーズに動く。入力した文字はそのまま、ATOK Padに残されたままになるので一般的な付箋紙ソフトと同様使い方が可能だ。キータッチでいえば、小指、もしくは中指になるだろうか。この位置を把握しておけば相当に力強いツールになるだろう。

Webの検索

もうひとつの機能はWeb検索機能。ATOK Padには、真ん中下に「Webで検索」という大きなボタンがある。これをクリックすると、ATOK Padの画面から抜け出てブラウザを使ったWeb検索を行う。このとき、メモしてあるすべてのキーワードを合わせて検索するのだが、これではあまり実用的ではない。検索するキーワードを選択しておくと(図2)、単体のキーワードごとに検索してくれる(図3)。また、検索ボタンにもショートカットが用意されており、これは[Ctrl]+[Enter]キー。文字列の選択には、矢印キーを使えばよい(Shift+矢印キー)ので、一連の動作をキーボードから手を離すことなくスムーズなショートカットキーのコラボレーションを実現する。

図2 検索機能も魅力的な機能。単語レベルで選択して[Ctrl]+[Enter]すると

図3 ブラウザが立ち上がりキーワードでの検索が行われる

入力エリアは、コピー&ペーストに対応しているので[Ctrl]+[C]、[Ctrl]+[V]を使うことができる。巡回中のWebや何らかのテキストデータなど後から調べるためるために、選択して

1.[Ctrl]+[C]
2.[Ctrl]×2
3.[Ctrl]+[V]

でATOK Padに貼り付け完了。さらにそのまま、検索するには

4.[Shift]+[矢印]
5.[Control]+[Enter]

でキーワードをATOK Padに貼り付けて、そのままWeb検索を行うというコンボも可能だ。慣れると結構使いやすい技になる。

ATOK Padの設定

ATOK Padは設定は画面右下にある。アイコンをクリックすると設定画面が表示される。[Alt]+[Enter]キーでも呼び出せる(図4)。

図4 設定画面

こちらの方も至って簡単。フォントサイズと背景色の何通りかのパターンの選択、背景画像の設定。ショートカットの切替は、重要な項目だ。このシンプルに使いこなすことが奥義であるアプリケーションの最大のポイントでもある。[Ctrl]キー2回、[Alt]キー2回、[Shift]キー2回のいずれかを選択できる。これを見ると、どの場合でも同じキーを「コン、コン」と2回打ち込んで呼び出すというポリシーが徹底されていることがわかる。これが心地よさを創出しているのである。

背景色[グラビティ]

背景色[クラウド]

背景色[リーフ]

フォントサイズ[大]