有機ELを活用したデジタルサイネージ

三菱電機のブースでは、自社デジタルサイネージ商品群をDIAMOND VISIONソリューションとし、コンテンツ配信システムから、プロジェクタ、各種ディスプレイなどを紹介している。

中でも同社が通路前面に配置しているステージ上には、プロジェクタやコンテンツ配信システムのほか、3種類のデジタルサイネージシステムが展示デモを行っている。1つ目は参考出展となる有機EL方式スケーラブルディスプレイ。これは小型のフルカラー有機ELパネルをタイル状につなげて構成したもので、展示品のサイズは立て1920mm×横3264mm、約6.2m2(149型)を実現している。スケーラビリティと銘打っていることからも分かるとおり、用途に応じてサイズを自由に変えることが可能なほか、タイルユニットをつなぎ合わせていく構成のため、平面だけではなく、曲面や直角配置といったデザインの自由度を高めることも可能だ。

画面の上にある大型パネルが有機ELを用いたスケーラブルディスプレイ。その下の横に長いのがマルチ大画面表示システム、そして床に埋め込まれているのが、放熱改善により床置きを可能とした「VISEO PRO MDT521S」

また、LCDでは必ず入るパネル間の目地がほぼない状態にすることも可能なほか、有機ELの特性を活かした高輝度、高コントラストの画像表示が可能となっている。

2つ目はマルチ大画面表示システム。複数枚のパネルを組み合わせて、1枚のパネルとして、もしくはそれぞれ別のパネルとしてコンテンツ次第で活用することが可能で、ステージ上では横に長くつなげた形での活用例の紹介が行われている。そして3つ目はパネルの放熱改善により床置きを可能とした「VISEO PRO MDT521S」。ただし、じかに床に配置しただけでは、上に人が乗れば割れてしまうため、パネルの上に耐圧のアクリルパネルなどの設置は他社の似たようなコンセプトの製品同様に必要となっている。

また、こうした大規模施設向けのシステムのほか、中小規模のコンテンツなども複数デモ展示を行っている。例えば液晶マルチ大画面表示システム「iD2」は、パネル4枚と配信システムなどを収納した画台を一緒にしたもので、配信システムから表示まで一体化することで、さまざまな場所での活用を見込んだものとなっている。また、STBを3つ搭載しており、3つのコンテンツをそれぞれ別々に表示することが可能だ。

液晶マルチ大画面表示システム「iD2」。左右2枚ずつに分割して持ち運ぶことも可能だとのこと

同システムについては、三菱地所との協力の下、丸の内などで実際に稼動しており、実際にそういった場所で見ることが可能となっているという。

裸眼3Dによるデジタルサイネージ

大日本印刷(DNP)のブースでは、さまざまなシーンでの利用に応じたデジタルサイネージの紹介を行っている。例えばレンチキュラー方式を採用した裸眼3Dソリューションでは、47/42/24型のモニタにレンチキュラーフィルムを貼り付けることで、裸眼3D化させることが可能。現状はサードパーティから同フィルムを調達しているが、将来的には自社で同フィルムの製造を行い、コンテンツ作成技術と含めて提供していければとしている。

レンチキュラー方式による裸眼3Dシステム。左が2D時、右が3D時の画像

また、マルチディスプレイシステム「マイクロタイル」はリアプロジェクション方式のスクリーン「クロスプリズムスクリーン」を活用したシステム。同スクリーンは縦および横方向に65μmピッチの外光吸収レンズ構造を配置したリアプロスクリーンで、同社の映像コンテンツ技術を組み合わせたことで、高画質な映像情報の表示が可能となっている。

リアプロ方式を採用したマルチディスプレイシステム「マイクロタイル」

このほか、実際に触れる形のものとして、2010年4月より開始された「ニューロマーケティング」や46型LCDにFelicaリーダーなどをつけた情報端末「アイティビジョン」なども展示されている。ニューロマーケティングはブレインマシンインタフェース(BMI)を活用し、本などを読んだときの脳波の興味の状態とアンケートでの興味状態などの比較を行うことで、あらたなマーケティング技術などへの応用を図ろうというもの。デモ展示としては、顔認識システムと組み合わせた形で紹介が行われている。

グラフィックカードを活用したマルチディスプレイソリューション

ジャパンマテリアルのブースではMatrox Graphicsのグラフィックスカード「Matrox M」シリーズを活用したデモ展示が行われている。同Mシリーズの最新製品となる「M9188/2048PEX16」は1枚のカードにMini DisplayPortを8ポート搭載しており、8枚のディスプレイにDisplayPort出力時で最大2560×1600、デジタル出力時で最大1920×1200画素の画像表示が可能だ。

今回は、これを2枚用いてDellのデスクトップ用モニタを16枚設置、画像表示を行っているほか、Matroxの提供する遠隔操作向けマルチディスプレイ対応ユニット「Matrox Veos」「Matrox Extio」の製品展示なども行われている。

1枚で8画面出力が可能な「M9188/2048PEX16」を2枚用いて16枚のモニタに映像表示を行うデモを行っている

VeosはPCから出力されたDVI経由の映像をMaster Unitで同軸BNC出力に変換、同軸ケーブル経由でディスプレイ側となるDisplay Unitに送信し、同ユニットにてDVIに変換し直し、モニタに映像を表示するというもの。Master側からは最大3チャネルの配信が可能で、Display Unit側でそのうち2チャネルを選択して表示することができる。また、モニタ数を増やしたい場合にはRepeater Unitを介することで2系統に分岐することが可能だ。

Matroxの提供する各種ソリューション。ちなみに左に見える細長いパネルは1920×480のものを2枚並べており、これも2画面表示可能なMatrox Mにて行っているという。Matrox Mを用いたデジタルサイネージの採用例は国内でも着々と広がっており、例えば東京・六本木の東京ミッドタウンの地下1階インフォメーションカウンター付近に置かれているデジタルアートボードなどに用いられているという

一方のExtioは光ファイバケーブルを活用することで、最大250mの映像配信を実現するもの。PC側から光ファイバで信号を出力し、Extio側でそれを受信、4つのDVIポートからモニタにその信号を出力する。また、ExtioはUSB 2.0が前面4ポート、背面2ポート搭載しており、キーボードやマウスを挿すことで、PCの遠隔操作も可能で、例えばモニタが屋外にあったり、ビルなどの異なるフロアにある場合、または個人でもPCだけ別の部屋においておくことで、静かな環境で作業ならびに管理が可能となる。