米Intelは6月初旬に開催されたCOMPUTEX TAIPEIに合わせ、同展示会での基調講演や自社主催の発表会を何回かにわたって開催している。ここでは「Canoe Lake」という超薄型ノートPCプラットフォームや、タブレット市場をターゲットにした「Oak Trail」といったプラットフォームが初めて公開されるなど、モバイルや組み込み市場を非常に意識したものとなっている。近年のトレンドと合わせ、このIntelのモバイル/組み込み戦略を覗いていこう。
今回の一連のIntelの発表会の中ではどちらかといえば脇役に近い印象だったが、今年末に登場する「Sandy Bridge」は間違いなく今後1年先のIntelの主力製品だ。Sandy Bridgeではいくつかのアピールポイントがあるが、アーキテクチャの改良そのものだけでなく、特にGPUコアがCPUコアと同一のダイに統合されたことが大きい。データ転送のボトルネックが解消されるだけでなく、現在のWestmere世代ではプロセッサにパッケージングされているCPUコアが32nm製造プロセスルールなのに対し、GPUコアでは45nm製造プロセスルールと1世代遅れているものが、ダイの統一によってプロセスルールが進むことになる。これにより、省電力とパフォーマンスの両面で大きなメリットを享受できる。そのためSandy Bridgeのデモはどちらかといえばグラフィック・パフォーマンスの部分に重点を置いており、今回の発表会でもそれは例外ではない。
紹介されたデモではディスクリートGPUを使ったシステムとSandy Bridgeを使ったシステムでそれぞれゲームを動かし、そのパフォーマンスの差異を見せるといった手法がとられた。これのどちらがディスクリートでSandy Bridgeを当てさせるのかが目的だが、正直いって素人目のぱっと見では区別はつかない。Intelではデモの紹介後に正解を見せて、両者に大きな違いがないことをアピールするのが狙いとなる。だが外見上は同じように動作していても、Sandy Bridgeのほうが消費電力が圧倒的に少ないという点がポイントとなる。これはもちろんプロセスルールが競合製品よりも進んでいることに起因する。