ITホールディングスは5月10日、同社グループ全体のクラウドに対する取り組みに関する記者説明会を行った。さまざまなITベンダーがクラウド関連の製品やサービスを提供しているなか、同グループでは、SIerという立場を生かし、顧客のニーズに合致したクラウドサービスの展開を図る。

ITホールディングス 執行役員 事業推進本部 本部長 荒野高志氏

ITホールディングス 執行役員 事業推進本部 本部長を務める荒野高志氏から、同グループのクラウドサービスへの取り組みについて説明がなされた。

同グループは他社と同様、クラウドサービスとして、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)を提供している。

こうしたなか、同グループは金融・製造・流通といったさまざまな業界で受託開発やアウトソーシングを行ってきた実績から、個別のクラウドサービス構築に注力していきたいという。

ITホールディングスグループが提供するクラウドサービス

「当グループは、エンジニアや営業など総勢2万人のスタッフによって、顧客にSIを提供し、顧客の生の声を聞いてきた。もちろん、クラウドサービス活用に対する顧客の悩みも把握している」と同氏。

同氏は顧客がクラウドサービス活用について持っている悩みとして、「既存のシステムが複雑化しており、どのシステムからクラウド環境に移行すべきかわからない」、「さまざまなクラウドサービスが提供されており、自社に最適なサービスをどう選べばよいかわからない」、「単一のメーカーやベンダーに囲まれてしまいそう」といったことを紹介した。

こうした顧客の悩みを解決すべく、同グループでは「SIerならではのオープンなサービス」、「サービス同士を組み合わせた"クラウドインテグレーション"」、「国内外のサービス拠点」を提供する。

「クラウドサービスといえど、企業で使うのだから提供する側も業務システムを理解していなければならない。われわれは業界/業務特化型、共通サービス型などの30種類のサービスを他社のサービスと組み合わせて提供できる」と同氏。

クラウドインテグレーションとしては、TIS/インテック/クオリカ/AJSの4社が、企業が利用しているシステムについて、クラウドサービスに移行すべきものと移行する必要がないものを判別する、クラウドサービスへのマイグレーションに関するコンサルティングを提供している。

また同グループは国内外で20拠点のデータセンターを有しており、その総面積は10万平米に及ぶ。昨年6月には英国BTと提携を結んでおり、同社がワールドワイドで展開しているネットワーク・ファシリティを提供することが可能だ。

そのほか、同グループ傘下のインテックの戦略的子会社であるインテックシステム研究所(前インテック・ネットコア)はクラウド関連の技術を5年前から開発を行っており、アプライアンス「リアルクラウドソリューション」として提供している。

「インテック・ネットコアでは、Googleのエリック・シュミット氏がクラウドを提唱する以前から、クラウド関連の技術開発にあたってきた」

同グループは、5月12日から14日にかけて都内で開催されるクラウド関連のカンファレンス「クラウドコンピューティングEXPO」で、一部のクラウドサービスを展示する。