2月26日から、カシオのデジタルカメラ「EXILIM(エクシリム)」の新製品が店頭に並び始めた。今回はその中から、スタンダード・コンパクト機「Z」シリーズにおけるハイエンドモデル「EXILIM ZOOM EX-Z2000」に注目。その開発を担当された、商品企画部の今村氏にお話を伺った。カタログやホームページでは語り尽くせない、斬新なフォルムや画期的な新機能に込められた、開発スタッフの思いとは――。

外側も中身も過去を覆す、新たなフラッグシップ

――EX-Z2000のデザインは、前面の折れが斬新ですね。スポーツカーのボンネットを連想させます。

カシオ計算機
羽村技術センター
QV事業部
商品企画部
今村圭一氏

今村「この製品のデザインコンセプトは『スリム&スピーディー』で、まさにそのイメージを狙っています。エッジの尖り具合など、若干冒険的なフォルムであることから、正直、社内でも意見が分かれました。しかし、EX-Z2000が新たに誕生するフラッグシップモデルである以上、従来路線の延長上のデザインは避けたかったのです。デザインのブレイクスルーを求めて、今までの製品デザインとは大きく変えたい、と。

ただ、左右非対称の特殊な形なので、製造時はパーツの接合面をキレイに合わせるのに苦労しました。また、薄く見せるために、沈銅レンズの前縁を外装と面一にしたり、背面をフラットにして、すっきりとまとめました」

――中身の話に移りますが、エクシリムエンジンは今回から5.0になりましたね。以前レビューさせていただいた「EX-G1」で採用されていた4.0でもかなりの性能向上を実感できたのですが、5.0はさらに良くなっているのですか?

今村「一番大きな進化は、プロセッサーの駆動周波数が引き上げられたことで演算速度が30%高速化されたこと。そして、最新の映像処理プログラムを搭載していることです。また、演算処理性能を上げつつ、電力消費を従来未満に抑えました。例えば、2009年モデルの『EX-Z450』のバッテリー容量は1400mAでしたが、EX-Z2000のバッテリー容量は1200mAと、200mAも減っているんです」

見る角度を変えるごとに、印象ががらりと変わる。この点は、デザイナーがもっともこだわった部分とのこと

――バッテリー寿命が延びたのも、その恩恵なんですね。外側も中身も、過去の常識を覆してますね。

今村「そうです。本来は演算の速度を上げると電力を食うので、電池寿命が大幅に短くなってしまいます。そこを回路上の工夫と新エクシリムエンジンで、逆に延ばしました。EX-Z2000は、一回の充電で約580枚(CIPA規格)の撮影が可能です。これからは高速化だけ重視してもダメですよね。低電力化とのバランスが大切なんです」…つづきを読む