片腕保持も可能な960g、すっきり小型ネットブックをタッチで使う

ネットブック登場以来、徐々に大型化が進み、今では10インチ以上の液晶ディスプレイを搭載している機種も少なくない。これは家庭での利用を安価なPCで済まそうと考える初級ユーザーのニーズを満たす方向での進化かもしれないが、実際にモバイル利用したいユーザーにとっては持ち歩きづらい機種が増えている状態でもある。そうした中、8.9インチの液晶を搭載したスリム機種として登場したのが「EeePC T91MT」だ。最厚部は28.4mmだから非常に薄いというわけではないが、重量は約960gと軽い。また、凹凸が少ないデザインであるため、バッグにストンと入れて持ち歩きやすい。

今回の試用機はホワイトだが、ブラックもラインナップされている

本体前面にはSDHCメモリーカード/SDメモリーカード/マルチメディアカード対応スロットを搭載

左側面にはLANポート、ワンセグチューナー専用外付けアンテナ端子、マイク入力、ヘッドホン出力、USB 2.0を配置

USB 2.0SDHCメモリーカード/SDメモリーカード/マルチメディアカード対応スロットを装備した右側面

背面には外部ディスプレイと接続できるD-Sub 15ピンを搭載している

そして最大の特徴は、このサイズ/重量でありながらマルチタッチ対応の液晶パネルを採用し、回転ヒンジによってディスプレイのみを露出するタッチPCスタイルでの利用が可能だということだ。8.9インチ液晶はさすがに大人数でタッチしながら写真で遊んだり、指先で手書き文字入力をするには厳しい。しかし本体にスタイラスペンが格納されているため、これを利用してメモを書いたり、簡単な図を描いたりすることは可能だ。サイズ的にはちょうどノートをかかえて文字を書くのに近い。

回転ヒンジによって自由に向きが変えられるマルチタッチ対応の液晶パネル

このようにディスプレイのみを露出するタッチPCスタイルでの利用も可能

また、メディアリーダーとして利用する方法もある。ディスプレイをキーボードと逆向きで据え置きにすると、動画や画像を再生してデジタルフォトフレーム的な使い方をすることもできる。また、ディスプレイのみを露出させた形で持てば、電子ブックリーダーのように使うこともできそうだ。電源ボタンと、ランチャの呼び出しおよび画面表示方向切り替えを兼ねたハードウェアキーが画面側に設置されているため、簡単な使い方ならばタッチと併せてキーボード部なしで利用することもできる。

実際に本体のPDFマニュアルを縦長方向のフルスクリーン表示をしてみたところ、十分読み進めることのできる状態となった。960gは片手でつかむように持つには重いが、腕に乗せるようにして保持すれば男性なら無理なく持てる範囲といえそうだ。また、コンパクトになるため電車内でも座っている場合には左右の人の邪魔にならないのも魅力。

PDFマニュアルを縦長方向のフルスクリーン表示をしてみた。腕に乗せるようにすれば無理なく持てる範囲だ

タッチPCスタイルのままでも使えるよう、電源ボタンおよびランチャの呼び出し/画面表示方向切り替えを兼ねたハードウェアキーは画面側に設置されている

ハードウェアキーから起動できるランチャ。手前の丸い部分を前後に移動することで、簡易メニューと詳細メニューを切り替えられる

液晶上部には有効画素数30万画素のWebカメラを搭載

ネックになる部分といえば搭載しているCPUがAtom Z520と、非力なAtomであるためか、一部の動作が非常に重いことだ。たとえばハードウェアキーを押してランチャを起動した場合や、その表示切り替えは若干重く感じられる。画面にタッチするとすぐに認識を示す輪が表示されるため、タッチの反応は鈍くないのだが、その後の処理が重いのだ。しかし、PDFを表示してページめくりをタッチ機能で行った場合、予想以上に軽快なページ移動ができた。クラシック表示を選択するなどチューニングをした上で、より軽快に動作するアプリケーションを利用し、ファイル容量を軽くする工夫などを行えばかなり快適さは向上させられそうだ。