さて、DSC-HX5V独特の機能でも大注目なものがGPSだ。ケータイカメラでいつも便利なのは、撮った写真にGPSの位置情報が記録されることだと思う。お出かけして撮った写真を地図に貼り付けると、とても楽しいし、記憶がより鮮やかによみがえってくる気がするからだ。

本体側面にあるのがGPS。GPS内蔵によって何かサイズが大きくなるとか、出っ張りができるとかそういうところがないのはさすが

GPSを使うにはこの「GPS方位」の設定を入にしておく

普通のデジカメにはGPSはないので撮った写真の撮影場所をチェックするには、GPSロガーを使うなりする必要があり、後でPCを使って作業しなければならない。それならば最初からGPSを内蔵してくれればいいのにとずっと思っていた。

それを可能にしたのが、このDSC-HX5Vなのだ。GPSを内蔵しており、撮影した画像には(設定しておけば)常にGPSの位置情報が記録されるので、画像を取り込めばそのまま写真を地図で管理できてしまうのだ。

GPSを利用する場合は、単にメニューの設定から「GPS方位」を「入」にするだけ。あとは外に出て、空が見えるところでしばらく待てばGPSを受信し、それ以降は撮った写真に自動的に位置情報を記録してくれる。実に簡単。

GPSが難しいのは、精度と測位時間のバランスなんだろうと思う。精度を求めると測位時間が長くなり、デジカメに内蔵するには実用的でなくなってしまう。でも、カーナビみたいな完全な精度は、はっきり言ってデジカメには不要なので、そこそこでいい。

ケータイカメラだと、基地局情報も使って測位速度を速めている。iPhoneなんかを使えば分かるが、まずは基地局の電波を使って大まかな位置を測定し、それからGPSできっちりと測位している。屋内で使ってみると、結構な誤差があったりするのだけど、そこはそれ。だいたいでいいのだ。

その点DSC-HX5Vだと、「GPSアシストデータ」というのを使う。「この期間にGPS衛星はこの辺にある」というデータを持たせることで、GPS衛星を探す時間を短縮するのだ。USBケーブルで本体と接続すると、自動的にアシストデータは更新されるようになっていて、接続のたびに最新のデータが保存されるので手間がない。前述のTransferJetを使っている場合はもっと楽で、リーダーに置くだけでデータが更新される。

GPSアシストデータには有効期限がある。USB接続でPCとつなげば自動で更新してくれるが、普段メモリカードを取り出してカードリーダーを使っているという人は注意

衛星風のアイコンがGPS。「駐車禁止」のようなマークは、GPSを受信できていないということ。屋内では受信できなかった

これが功を奏しているのか、DSC-HX5Vはなかなか素早く測位してくれる。速いときで数秒、長いと2~3分といったところだろうか。一度測位して撮影をして、その後電源を切って移動した場合に、再び測位しようとしたときは速い。電源を入れて、カメラを構えている間に受信できてしまう。

悩ましいのが屋内の扱い。試してみた限りは、屋内ではGPS信号は受信できないようだ。もうちょっと頑張って欲しいのだが、もともとGPS自体が屋内は不得手なので、仕方ないのだろう。

あとは、高層ビル群の間に立っていたりすると測位に時間がかかったり、測定位置がずれたりしてしまう。これも今のところはどうしようもないけれど、日本版の測位衛星「みちびき」が夏には打ち上げられる予定らしく、これが使えれば、かなり精度と測位スピードが向上するかもしれない。

それはともかくとして、実用的なスピードで測位してくれるので「きちんと使えるGPS」になっている。あと、GPSに加えて電子コンパスも内蔵している。GPSで撮影位置を、電子コンパスで撮影方向を記録してくれる、というわけ。

電子コンパスは精度の調整機能もある

付属のPMBで撮った画像を地図に表示してみた。園内をぐるぐる歩き回った様子が一目で分かる。トレッキングの最中なんかに定期的に撮り続ければ、歩いたルートが後から確認できるというわけ

こうして位置情報が記録された画像は、付属ソフトの「PMB(Picture Motion Browser)」やPicasa、iPhotoなどの画像管理ソフトを使えば、地図上に画像を表示されるのだ。今までは、ケータイで写真を撮って、そこで得た位置情報を普通のデジカメ写真に流用したりしていたけど、このカメラを使えばそんな手間もいらない。

Google Earthでなら地球儀の上に自分の写真が表示されるし、FlickrやPicasa Web Albumなどの画像共有サービスでも、撮影場所が表示されて楽しいのだ。