2009年12月に発売された純国産3DCGツール「Shade11」。今回はこれまで紹介した新機能 「ボリュームライト」「フォトモデラー」に続き、「Shade11」から加わった新機能「スケッチモデラー」を紹介する。スケッチモデラーとは、1枚の絵や写真から、人物の顔などの左右対象物をモデリングできる機能。3DCGのモデリングで特に難しいとされている顔を、たった1枚のイラストから作ってくれる。実際にどのような手順で行なわれるのか、試してみた。

まずは斜め方向から描かれているイラストを用意

このイラストを使用する

スケッチモデラーを使用するためには、1枚のイラストや写真が必要だ。このイラストは真正面や真横から描かれたものではなく、斜め方向から描かれている必要がある。発売元のイーフロンティアによると、斜め45度程度が最適のようだ。まずは、この企画用にイラストを用意した。

イラストが用意できたらShade11を起動し、メニューバーから「ツール」→「作成」→「スケッチモデラー」を選択。するとスケッチモデラーのウインドウが画面上に現れる。ウインドウ左上の「基本設定」タブにあるボタン「下絵画像を開く」をクリックし、用意した画像を指定。すると、ウインドウ内にイラストが表示されるので、今度はウインドウ右上にある4つのボタンを操作して、イラストの顔が画面中央にくるように操作しよう。4つのボタンは左から「移動」、「拡大」、「回転」、「初期状態」を意味している。ここまで終わったら、画面左上にある「モデリング」のタブに切り替える。

「スケッチモデラー」は独立したウインドウで起動するShadeのプラグインだ

「移動」や「拡大」を使い、このように顔を大きくしておくと作業しやすい

イラストの線をなぞりながら顔を描く

「モデリング」のタブを開いたら、ウインドウ左側にあるアイコンから「pline」を選び、イラストの上に線をひいていく。マウスクリックするたびに点を打ち、それらを繋いで線を描くのだ。このときに注意しなければならないのは、点を打つ順番と点の数を左右対称になるようにするという部分。例えば右眉毛を顔の中心から4つの点で描いたら、左眉毛も顔の中心から4つの点で描く。眉毛の他に、まぶたやクチ、顎のラインなど、描きやすいところから点を打っていくといい。

眼や眉毛など、はっきりと線が描かれているところから作業すると効率がよく作業できる

次々と点を打っていく。すべて左右対称になるように注意しながら作業してゆく

ただし、顔の中心線だけは1本の線で描いてかまわない(左右対称に描けないため)。額から鼻筋を通って顎につながるように、1本の線で描くとよいだろう。そして、どんどんイラストをなぞっていき、3本以上の対称線ができたら「三次元復元」のボタンをクリック。すると、画面に基準線が表示されて、これまでに打った点が立体化される。立体を確認するにはウインドウ右上にある「回転操作」アイコンをドラッグ。いままで平面に打たれていた点が3次元空間をグルグル回るのだ。

顔の中心にも線をひいておく。これを忘れると立体化できない

「回転操作」ボタンをドラッグすると、点と線が回転する。元に戻すには一番右のアイコンをクリックしよう

Shadeに取り込む作業はワンクリック

ある程度顔ができたら、Shadeに取り込んでみよう。Shadeのモデルデータに出力する方法は、ウインドウ左下の「Shade」と書かれた「▽」アイコンをクリックするだけ。これを押すとShadeにデータが出力される。ブラウザ内には「center」と「left」、「right」の3つのパートにわかれて格納される。これらのデータは単なる線なので、あとはShadeの通常のモデリング方法で加工できる。Shadeに出力したデータの完成度に満足できない場合、再び「スケッチモデラー」を起動することも可能。このとき、元データをShadeで加工していても、Shadeとスケッチモデラーを切り替えながら、作業可能なので問題はない。

Shadeに出力した状態。ブラウザ内には多くの「line」が確認できる

あとは通常のShadeの使い方と同じ。「line」を自由に加工しよう

次回、スケッチモデラーで作成した3DCGを完成させ、スケッチモデラーのさらなる活用法も紹介していく。