そもそも、トイレメーカーとしてのイメージが強いTOTOは、創業時はコーヒーカップなども手がけていた陶器メーカー(東洋陶器という社名だった)。今では、食器類の製造は中止しているが、ユニットバスやシステムキッチンなど水まわり製品全般を手がけているのをご存知だろうか。

便器のフタをパカパカ開きながらしゃべるネオ2号。声に使用されているのは、ペンタックス「Voice Text」。絶妙な間の抜けた感じはパラメーターで微調整しているらしい

現在50~60代のユーザーには、「ウォシュレットの大発明」(ちなみにウォシュレットという名称はTOTOの登録商標)で一目置かれ、海外セレブの中にも愛用者が多いことで知られるTOTOだが、若い世代にはTOTOの技術力やメーカーとしての底力がイマイチ認知されていないのも事実。「そういった知られざるTOTOの魅力を『TOTOTALK』ではうまくみせていきたいと思いました」と中村さんは話す。

WEBコンテンツである「TOTOTALK」はバーチャルで作り上げてしまうことももちろんできた。けれど、メーカーであるTOTOだからこそ「実際のモノをつくることができるのが強み」。あえて、ネオ2号という、実物のしゃべるトイレをつくることにこだわり、「ライブ中継ならではの生っぽさを出したかった」という。

ネオ1号のテレビCMの制作は、ソフトバンクモバイルの「白戸(ホワイト)家の人々」シリーズなどを手がける電通のCMプランナー、澤本嘉光さんが担当

ネオ2号を制作するために、実際に製造工場も訪れた。「トイレって外観はこんなにすっきりしたデザインなのに、中を開けると回線がぐるぐると絡み合う精密機器。陶器メーカーだったTOTOが、こんな複雑な精密機器をつくるまでものづくりを究めたという、フロンティア・スピリットに感動した」と中村さん。さらに見学を通してTOTOに対する想いが深まったのは、TOTOのトイレのもつ「先端性」だけではなく、陶器をつくりあげる職人技から「日本人らしいおもてなしの心」だったり「ひたむきさ」を学んだせいでもあるらしい。

同時に何人の人が利用しているかわかるように「指」マークが表示される。夜中にTOTOTALKをのぞいても常に「指」がうようよしていると、「好きだなぁ、みんな」となんだか安心してしまう

実際にWEB上にてTOTOTALKで遊んでみると、ライブ中継の映像を見ながら、ネオ2号がカレッタ汐留の片隅でもくもくとつぶやいているであろう姿を想像したり、「おべっか」を言われてほくそ笑んだり。「シリフケ」「オナラスカ」のクリック率が高く、アクセスは昼間のほうが多いというから、仕事の息抜きにサイトに訪れるサラリーマンも多いのかもしれない。

レトロファンタジックな「夢」機能も搭載(当初は、ネオ2号は夜の間は眠っている予定だったそう)。実際に40kgのトイレを持ち運んで撮影されたという、大掛かり感を感じさせない幻想的なストーリー

中村さん曰く、究極的なパーソナル空間であるトイレでは「『こんなのあったら面白い』という試みを、すごく間違ったハイテクにふってみてもいいのではないか?」。ネオ2号の絶妙の間の抜けた具合。あくせくしている日本社会には逆にこのくらいツッコミどころ満載のほうが似合うのやも、と思ってしまった。

なお、ネオ2号の"実物"には6月までカレッタ汐留1階エスカレーター下にて出会えるほか、それ以降は千葉県立現在産業科学館での展示も決まっているとか。まずはWEBでという方はこちらから。24時間いつでも、ネオ2号がお待ちしております。