米NVIDIAは7日(米国時間)、CES 2010会場で報道関係者向けイベントを開催し、Jen-Hsun Huang社長兼CEOが新世代「Tegra」を発表した。
音楽を聞く、本を読む、テレビや映画を見る、友達と情報を交換するなど、時代が移っても人々の基本的な行動は変わらない……とHuang氏は切り出した。だからこそ、こうした人々の生活に根付いた行動をより便利にする製品、たとえばソニーのウォークマン、AppleのiPodやiPhone、AmazonのKindleなどによって新しい時代が築かれた。革新的な製品はアイディアだけでは生まれない。小型HDDマイクロドライブによってCD数十枚分の音楽を収納できるポータブルオーディオプレイヤーが実現し、Eペーパーで目に優しく長時間駆動の電子ブックリーダーが可能になったように、それらのデバイスの土台には新たな利用スタイルを可能にする技術が存在した。
過去十数年にわたって、もっとも人々の生活を変えてきたデバイスはPCだった。そして、ここ数年の間に革新の場がインターネットとWebに移り始めている。一例としてHuang氏はFacebookアプリのゲーム「FarmVille」を挙げた。昨年6月に公開されたばかりの農場育成ゲームで、またたく間にユーザーを集めて、現在は1日に7,800万人が利用する巨大サービスに成長した。「Facebookは今や、最も成長ペースの速いゲーム・プラットフォームである」と同氏。以前はリソースに過ぎなかったWebが、今はアプリケーション・プラットフォームとして利用されている。
クロスデバイス、クロスプラットフォームが可能なWebの台頭により、iPhone人気に代表されるモバイルWebも急速に成長し始めた。だが課題も存在する。現在Webサイトの多くは、ネットブックのディスプレイに相当する1,024×600ピクセルぐらいで最適に表示される。480×320ピクセルのスマートフォンのディスプレイには大きすぎる。モバイル用Webページを用意するというソリューションもあるが、すでに1億以上のWebサイトが存在するのだ。またPCと同じようにモバイル機器でメディアを楽しもうとすれば、パフォーマンスの違いが顕わになる。PCは大きくて手軽さに欠け、スマートフォンは小さくて非力だ。どちらも一長一短であり、コンバージェンスへの期待が高まっているのものの、両者の距離はまだまだ遠い。
「われわれには、スマートフォンの携帯性、アクセシビリティ、手軽さと、PCの解像度、パワーとパフォーマンス、Web互換性を兼ね備えたソリューションが必要である」とHuang氏。それを可能にする技術として新世代の「Tegra」を発表。そして、IPodやiPhone、Kindleなどが新時代を切り開いたように「2010年はタブレット革命の始まりになる」と宣言した。