米Appleが5日(現地時間)にも米Quattro Wirelessの2億7,500万ドルでの買収を発表する計画だ。Wall Street JournalのAll Things Digital内にあるBoomTownのコーナーで、コラムニストのKara Swisher氏が4日付けで報じている

Quattro Wirelessは、いわゆるスマートフォン向けの広告サービスを提供するスタートアップ企業で、そのライバルには米Googleが買収したAdMobが挙げられる。Googleは広告プラットフォームの強化で自社のスマートフォンOSであるAndroidをバックアップする一方、Googleと袂を分かちつつあるAppleもまた、独自の買収戦略でiPhone周辺の強化を進めつつある。その1つがAppleによって買収が行われたといわれるPlaceBaseの存在で、同社はこの買収を経てGoogleなしで独自の地図サービスを用意する意向だという(「米Appleが地図サービス企業を買収 - Google Mapsとの決別が近いか」)。Quattro Wirelessの買収についても、ネット広告分野で存在感を誇示するGoogleに対抗できるだけの下地を作るものとなるかもしれない。

なお、AppleがQuattro Wireless買収を発表するといわれている5日には、Googleが初めて自ら携帯電話の販売に乗り出すことになる「Nexus One」の発表会が控えている。最新のAndroid OSを搭載したHTC製のハードウェアという点以外は不明なNexus Oneだが、Googleにとっては初のリテールでのハードウェア販売ということで、世間の多くの注目を集めることになるだろう。AppleとGoogleの発表が同日に重なることは、ある意味で2社の将来にとって象徴的な出来事になるかもしれない。