卵ベースの餡が優しい味 - 「母恵夢」
和菓子が続いたので、洋菓子で何かいいものはないかということで、見つけたのが「母恵夢」である。母恵夢と書いて、「ポエム」と読む。
ただ、純粋な和菓子かというとそうとも言えない。この商品も「ひよ子系」の菓子で、中の餡は卵黄からできている、あのモソっとする黄身餡である。ただ、餡にはバターが入っているので、洋の香りがする。
生地もまた「ひよ子系」のモソっとしながら、ホロホロと崩れるものだ。製造元のWebページによると、表面に付けられている膨大な穴は、ムラなく焼き色を付け、ホックリとした味わいを出すためとのこと。
しかし、どの地域にも「ひよ子系」のお菓子が必ずある気がする。日本人はどれほどひよ子が好きなのか? ひよ子、強し!
小説ゆかりの3色団子 - 「坊ちゃん団子」
最後に紹介するのは、緑色・黄色・小豆色の3色の団子を串刺しにした「坊ちゃん団子」である。レトロの色合いが女性受けしそうだ。このお菓子はその名のとおり、夏目漱石の小説『坊ちゃん』に由来する。
同書には「或る晩道後と云うところへ行ってだんごを食った。此の道後と云うところは温泉のある町でおれの這入った団子屋は遊郭の入り口にあって大変うまいと云う評判だから温泉の帰りがけに、一寸食ってみた」という一節があり、これをモチーフに今の坊ちゃん団子が作られたようだ。
坊ちゃん団子は3色の餡の中に白いお餅が入っている。餅の量は少なく、ほぼ餡でできていると言ってもよいほどだ。
緑色が抹茶餡、黄色が黄身餡、小豆色がこし餡である。この餡がかなり美味だった。控え目な甘さながら、深みがあり、すごくなめらかなのだ。団子1個の大きさは大人の男性の親指の頭くらいしかないので、2・3本すぐに食べられてしまう。
和菓子好きの筆者(というより、甘いものなら何でも好きなのだが……)としては、ぜひリピートしたいと思える一品だった。