先日、AMDのATI Radeon HD 5870の性能をレポートしたが、直後から(数は少ないとはいえ)秋葉原などで発売が始まっており(9月23日には5万円を超える値付けがなされていた事もあったが、今は概ね4万5,000円前後あたりで安定しており、まぁ予想が外れなくてよかった)、これに続きATI Radeon HD 5850も(更に数は少ないながら)発売されている。NVIDIAも対抗製品であるFERMIの発表こそ行ったものの、実際の製品に関するアナウンスは皆無だから、現実問題として今年一杯はRadeon HD 5800シリーズの天下ということになるだろう。
さて、Radeon HD 5800シリーズはハイエンド向けであるが、これに続きメインストリーム向けの"Juniper"コアが用意されているのは、既に発表があった通りであるが、これが実際にRadeon HD 5770/5750として発表された。今回は併せてRadeon HD 5850も試用する機会に恵まれたので、まとめてレポートをお届けしたい。
メインストリーム向け2製品
Radeon HD 5850についてはすでに紹介しているので、今回はRadeon HD 5700シリーズについてのみ説明をしておく。ポジション的にはRadeon HD 5800シリーズのサブセットとなり、シェーダ数を若干削り、その分価格も低めというポジションを狙った製品である(Photo01)。Radeon HD 5800シリーズはハイエンド向けということで、200ドル~400ドルというちょっと高めの価格帯を狙った製品であるが、Radeon HD 5700シリーズは100ドル~200ドルのメインストリームけ狙いである(Photo02)。
さて内部構造だが、丁度Radeon HD 5800シリーズのTeraScale 2 Architectureを半分にしたような構造となる。もっとも周辺I/Fとかはそのまま半分にするわけにはいかないので、ダイサイズは恐らくRadeon HD 5800の50%強(55%程度?)といったところになるだろう。ただRadeon HD 5800が334平方mmと発表されており、この55%だと184平方mmといったところか。恐らくは190平方mmを切る程度と思われる(本当はヒートシンクを外して実測してみたかったが、堅く止められたので今回も断念した)。ここまでダイサイズが小さくなれば、100ドル~200ドルの価格レンジに投入するのは難しく無いだろう。
Photo03: Radeon HD 5800が20SIMD(1,600 SPU)と256bit GDDR5だから、丁度半分である。 |
Photo04: こちらも初物はそれなりに価格高騰するだろうが、とはいえメインストリームなのでせいぜいが2万円といったあたりではないかと予想する。 |
さて、Radeon HD 5770は予想価格159ドルとされている。コアは850MHz、メモリは1.2GHzの4倍速で4.8GHzである。160ドル程度のグラフィックスカードが1GBの容量というのもなかなか恐ろしい話ではある。一応AMDからは主要なベンチマーク結果(Photo05~07)が示されているが、まぁ「それなり」といったあたりに落ち着いている。
一方Radeon HD 5750の方は、SPUを720個(つまりSIMDを9個)に減らし、またメモリも微妙に速度ダウン(1,050MHz×4=4.6GHz)させていることで性能の差別化を図っている(Photo08)。こちらもベンチマーク結果が出ているが、Radeon HD 5770よりも更にベンチマークは苦しい感じである。
Photo08: 512MBモデルが$109、1GBモデルが$129になる模様だ。 |
Photo09: このクラスを選ぶユーザーが、無理にWUXGAでゲームをすることも無いわけで、もう少し解像度を落とすとかAAを止めるとかすれば、現実的な数字になるだろう。 |
ということで、Radeon HD 4000シリーズと5000シリーズのスペックを一覧にしてみたのが表1である。こうして見比べてみると、Radeon HD 5700シリーズのスペックはRadeon HD 4800あたりとそう大きな違いが無いことがわかる。特にRadeon Radeon HD 4850とRadeon HD 5750はほぼ同等、Radeon HD 4870にも近いが、メモリ帯域がかなり違うのでこれが多少ネックになるか? といったあたりと予測される。
■表1 | |||||||
HD 4850 | HD 4870 | HD 4890 | HD 5750 | HD 5770 | HD 5850 | HD 5870 | |
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プロセス | 55nm | 40nm | |||||
トランジスタ数 | 9.56億個 | 9.59億個 | 10.4億個 | 21.5億個 | |||
コア周波数(MHz) | 625 | 750 | 850 | 700 | 850 | 725 | 850 |
SP数 | 800 | 720 | 800 | 1440 | 1,600 | ||
演算性能(TFlops) | 1.00 | 1.20 | 1.36 | 1.008 | 1.36 | 2.09 | 2.72 |
Texture Unit | 40 | 36 | 40 | 72 | 80 | ||
Texture Fillrate(GTexel/s) | 25.0 | 30.0 | 34.0 | 25.2 | 34.0 | 52.2 | 68.0 |
ROPs | 16 | 32 | |||||
Pixel Fillrate(GPixel/s) | 10.0 | 12.0 | 13.6 | 11.2 | 13.6 | 23.2 | 27.2 |
Z/Stencil | 64 | 128 | |||||
Z FillRate(GSamples/s) | 40.0 | 48.0 | 54.4 | 44.8 | 54.4 | 92.8 | 108.8 |
Memory種別 | GDDR3 | GDDR5 | |||||
Memoryバス幅 | 256 | 128 | 256 | ||||
Memory Clock(MHz) | 1,000 | 900 | 975 | 1,150 | 1,200 | 1,000 | 1,200 |
Memory Bandwidth(GB/s) | 64.0 | 115.0 | 124.8 | 73.6 | 76.8 | 128.0 | 153.6 |
最大消費電力 | 110 | 160 | 190 | 86 | 108 | 170 | 188 |
アイドル時消費電流 | 30 | 90 | 60 | 16 | 18 | 27 | 27 |