日本以外のアジア勢でプレゼンスを高めていたのが中国企業だ。今年になって3Gが開始され世代の移行が進む中国だけに、各社のブースはLTEや新プラットフォームなど新しい技術の展示が目立っていた。
中国移動、OPhoneやTD-LTEをアピール
中国最大の通信事業者、中国移動(China Mobile)は同社が主体となって開発した「OPhone」プラットフォームや「TD-LTE」の展示が行われていた。
今年8月から中国で発売開始されたOPhoneは、ヨーロッパではまだ全く知名度のない製品である。名称や画面UIデザインが類似していることからiPhone関連の中国製品という第一印象を受ける来訪者も多かったようだ。しかし、OPhoneがオープンなプラットフォームであり、中国最大の事業者が主体となって開発されたものであるとの説明を受けると、製品バリエーションや今後の技術展開に関して質問していた。
特に中国メーカーだけではなくDELLやLG電子、HTCといった大手メーカーが参入していることが大きな評価を受けたようだ。3Gは中国独自のTD-SCDMA方式に対応だが、W-CDMA対応の可否を質問する姿も見られた。また端末の完成度の高さからTD-SCDMAネットワークを含めて興味を示す発展途上国の来訪者もいたようだ。
TD-LTEはTD-SCDMAの発展系で、TDD(Time Division Duplex)技術によるによるLTE方式である。W-CDMAなどのFDD(Frequency Division Duplex)技術のLTEとは直接の互換は無いが、TDD-LTEとFDD-LTEのデュアル方式に対応したシングルチップの開発を進めており、これにより中国以外の海外のLTE方式にも対応する端末を製造することが可能になるという。
なおTD-LTEのデモではMotorolaの協力により会場のジュネーブ市内に試験局を設置、カメラを搭載した車から市内の風景をHD画質でライブ配信するデモを行っていた。スループットは下りで100Mbps前後を達成しており、ライブ映像もクリアだった。来年上海で開催される上海万博時にはテスト端末を配布し、上海市内でTD-LTEの実用テストも行われるとのこと。
中国聯通、W-CDMAで世界との互換性をアピール
中国聯通(China Unicom)は事業者としての知名度が少ないこともあり、展示ブースでは「The best in WO」として同社のサービスブランド名「WO」(中国語では「沃」)を大々的にアピール。ブース内は色別に3つのカテゴリのサービスを紹介していた。3G携帯電話サービスから導入した新ブランド「WO」は「WO Mobile」としてオレンジ色のコーナー、また緑色コーナーは固定系のサービスの「WO Home」、そして青色のエンタープライズサービスは「WO Business」と、携帯電話以外のサービスにも全てWOブランドを展開。マルチプレーヤーであり海外と互換のあるW-CDMA/HSDPAサービスを提供している点が来訪者の興味を引いていたようだ。
サービスの展示は携帯電話がTV電話や高速ダウンロード、モバイルインターネット、固定系はIPTV関連など目新しいものは無かった。端末もHSDPA内蔵ネットブックや既存の製品がデモ用に置かれているだけであり、今後発売予定の新製品もショーケースの中に展示するに留められていた。説明員によると今回の展示はWOブランドのアピールにより同社のプレゼンスを高める意味もあり、製品よりもブランド戦略に注力したとのことである。
ZTE、LTEやWiMAXなどの最新データ端末も展示
ZTEブースはインフラ系の展示はほとんどがPCによるプレゼンであり、端末はグローバルモデルとして海外各国の通信事業者向けのW-CDMA、CDMA2000、GSMモデルが一同に展示されていた。またWiMAXやLTE対応のデータ端末や、中国のTD-LTE端末の海外展開に欠かせないTDD-LTEとFDD-LTEのデュアルモード端末も参考展示されていた。各国の通信事業者からサービスを求められれば、インフラだけではなく端末もセットで提供する準備が出来ているとのことである。