「ハリー・ポッターと謎のプリンス」の制作におけるGPUベースの流体物理シミュレーションによるCG制作で手応えを得たILMは、現在製作進行まっただ中のタイトル非公開作品のCG制作において、スライス法ではなく、ボリュームレンダリングベースのフル3DパーティクルベースのシミュレーションをGPU上で実装して臨んでいるという。

このレベルの流体物理シミュレーションはCAE(Computer Aided Engineering)の世界では当たり前だが、映像制作のために導入するというのは、今でもかなり先進的だと言える。

下に示すのがそのテストショットだが、Kerris氏によれば、GPUシステムの導入により、このレベルの映像は数十分もあれば完成でき、そのため、何度も反復調整が行えるようになったと、している。

具体的なデータとしては、3日間の時間で、CPUベースのシステムでは十数回のリテイク/反復調整が限度だったのに対し、GPUベースのシステムでは1台のマシンだけでその4倍のリテイク/反復調整が行えたとのこと。

現在ILMが制作を手がけているタイトル非公開作ではCAEレベルのフル3D流体物理シミュレーションとレンダリングを採用しているという

動画
■動画04 - その動画。一体どんなタイトルで採用されているのだろうか (WMV形式 20秒 2.9MB)

反復調整の流れの一例

CPUベースのシステムとGPUベースのシステムとでの3日間における反復調整回数の格差。その差は4倍以上

より完成度の高い映像制作には反復調整は欠かせないものであり、結果が早く得られるということは、この回数を増やせると言うことに相当する。つまりは、ILMの手がける映像はGPUの導入によってさらにクオリティが上がったと言うことなのだ。