プロジェクト"GPU"発足!~トランスフォーマー2の制作

ILMは、より映画向けCGの制作を高速化、そしてプロダクションの段階ではなるべくインタラクティブに進められるように、と、2009年の今年初頭、「プロジェクトGPU」をスタートさせる。

これはシミュレーションの高速化、よりリアルなアニメーションとレンダリングを追求するために開始されたプロジェクトで、文字通り、ILMのCG制作にけるレンダリングハードウェアにGPUを導入していくものだ。

ILMのレンダーファームにGPUを取り入れることを目的とした「プロジェクトGPU」

プロジェクトの目標は、

  • プロダクション初期段階でのカット&トライ(Iteration,ここでは"反復調整"の意)をより早く行えること
  • インタラクティブに行えること
  • 巨大なデータセットが取り扱えること
  • コストパフォーマンスが高いこと
  • 将来有望であること

などが掲げられた。

そこで白羽の矢が立ったのがNVIDIA製のGPUだったというわけだ。

ILMは1基のQuadro FX 4800で剛体物理シミュレーションの実験を実施。すると12,700個の剛体の崩壊と衝突のシミュレーションをわずか1時間13分でこなすことが確認される。さらに10万個、270万点分の剛体衝突のシミュレーションを実施したところ、こちらもわずか3時間20分でこなすことが確認された。

12,700個の剛体物理シミュレーションをGPU(Quadro FX 4800)にて実施したショット

同じく10万個、270万点分の剛体衝突シミュレーションをGPUで実施したショット

これは大きなインパクトをILM内に与え、当時製作中だった「トランスフォーマー(2):リベンジ」のシーン制作にもGPUアクセラレーションを導入していくことが決定される。具体的には「トランスフォーマー:リベンジ」のクライマックス、デバステーターがピラミッドを破壊するシーンなどの制作に採用されている。このシーンの制作では、監督がシーンの概要、キャラクタ達とシミュレーション部分との絡み方をインタラクティブに指示指定が出来ることとなり、制作効率が大幅に向上したことが確認されたとしている。

「トランスフォーマー:リベンジ」(2009)のCGメイキングではGPUが貢献