NVIDIAは、米国サンノゼ市で開催のGPU TECHNOLOGY CONFERENCEにて、世界初のリアルタイムGPUデバッガ「NEXUS」を発表した。

かなり専門的なツールの発表とはいえ、注目度が高かったために会場は入場制限が設けられるほどの人気ぶり。登壇者も戸惑いを見せていたほど

異種混合コンピューティング環境、待望のデバッギングツールがついに登場

これまでPCにおけるソフトウェア開発環境、デバッグ環境というものは、CPU向けのリアルタイムデバッガと、独立したGPUの解析ツールを使い分けるというのが常套手段になっていた。

Sebastien Domine氏(NVIDIA,Senior Director,Developer Technology Tools)

開発者側にとってはVisual Studioのような統合型開発環境から、シームレスにCPU側も、GPU側もトレースできるデバッガの登場が望まれていた。

現在までの主流となっていたデバッギング環境

これからのデバッギング環境

NVIDIAが発表した、シームレスな異種混合型コンピューティング環境対応型デバッガ「NEXUS」は、これを実現する物になる。

PC環境ではデファクトスタンダードな開発環境であるマイクロソフトのVisual Studio 2008に完全統合させることに成功しており、ソースコードレベルでのトレースをCPU,GPUの区別なく行えるところが非常に強力だ。

NEXUSのソフトウェアスタックズ

GPUのトレースはエミュレーションではなく完全にネイティブで実行される。よってデバッグ時と通常実行時でGPUの描画結果が異なるということはない。

また、強力なのは、プログラムを停止させるブレークポイントを、GPU側のシェーダ・ソースコード内にも設定可能という点。さらに、ブレークした時点でのシェーダ・ソースコードの変数値の参照、GPUのネイティブレベルでのステータス値(レジスタ内容など)、ビデオメモリの内容参照も可能となっている。

これまで、PCI Expressバスの向こう側にある"周辺機器"、またはブラックボックス的な遠い謎のデバイスであったGPUを、NEXUSでは、あくまで、透過的な存在として開発者に見せ、さらにトレースできるような環境を提供するのだ。