択捉(えとろふ)さんは悩んでいました。「どうすればゴルフが上達するのか」と。

自己ベストは106。レッスン受講経験なし。「ゴルフ雑誌/番組で解説された理論をベースに、自身の経験によるアレンジを加え、独自のスイングを作り上げてきたものの、安定感に欠くプレイが続き、どうしても100を切れない」という。

なんだかツッコミを入れたくなる部分が多々ある気がするが、それはともあれ、悩める者を放っておくのは忍びない。ということで、本誌は、択捉さんに「ゴルフアカデミー広尾」のレッスン受講を提案。動画によるスイング分析も行っている同アカデミーでカメラ撮影のポイントも教わり、択捉さんが"勝手なアレンジ"を加える余地がないよう、自主練習時のチェック方法まで指導してもらった。

モデル紹介

そば択捉(仮称) - SOBA ETOROFU


ゴルフ歴約2年。コースを回るのは年3、4回。「とにかく飛ばしたい」が口癖で、正確さや美しさよりも、飛距離を重視して練習してきたという。レッスン受講経験はなく、スイングは完全に自己流。ラウンドでは、お昼にビールを飲んでしまうタイプ。好きなゴルファーは、もちろん、すし石垣選手。

本稿では、その内容をお伝えしていこう。

今回のオトモ

まずは、カメラの紹介から。

30枚/秒の高速連写と1000fpsの動画機能をもつハイスピードカメラ「EX-FC100」

今回の取材では、動画の撮影にハイスピード機能を搭載したコンパクトデジタルカメラ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」を使用した。以降を読み進めてもらえればわかるが、実は、これが想像以上の効果を発揮している。

ゴルフは、クラブの動きが速く、通常のカメラではその軌道を細かく観察するのが難しい。特に、「ダウンスイングにおいてどの時点で手首が返りはじめているか」、「インパクトの瞬間にどのような角度でボールを拾っているか」、などは非常に重要なポイントであるにもかかわらず、通常のカメラでは捉えきれない部分である。

しかし、通常の7倍から33倍のコマ数で動画撮影が可能なEX-FC100を使ったことで、そのような瞬間も超スローモーション映像ではっきりと確認できた。指導を受けた当人もどこが悪いのか理解した様子で、わずか50分のレッスンで大きな手ごたえをつかんでいたようだ。

※ EX-FC100のハイスピード動画機能には、「224×64pixの画面サイズで1000フレーム/秒」、「224×168pixの画面サイズで420フレーム/秒」、「480×360pixの画面サイズで30~210フレーム/秒」の3つのモードがあるが、今回は480×360pixで210フレーム/秒に設定して使用した。

では、レッスンの模様をご紹介しよう。

「優雅で、華麗な」スイングを目指すも、開始3分で状況は一変

今回レッスンをお願いした、ゴルフアカデミー広尾の宮内統子さん

今回レッスンをお願いしたのは、東京都港区南麻布にある「ゴルフアカデミー広尾」。講師には、美人ティーチングプロの宮内統子さんを迷わず指名させていただいた。

宮内さんは、USGTFティーチングプロライセンスを保有するインストラクター。現在26歳という若さにもかかわらず、オーストラリア、米国へのゴルフ留学経験があり、クラブフィッティング技術も有する。ゴルフアカデミー広尾の宮内さんの紹介欄には、「『優雅で、華麗な』、スイングを、ゴルフを。」というコメントがあり、択捉さんにも優雅と華麗を目標に頑張ってもらうことにした。

とりあえず、レッスン前にスイングをチェック(クラブは7番アイアン)。

※ 本稿で使用している映像の画質はファイル形式を変換した際に大きく劣化している。実際に撮影される映像はもっと綺麗である。

宮内さんにEX-FC100で撮影したハイスピード動画を見てもらったところ、まず、「足を開きすぎです。ドライバーみたいになっています」とジャブをいただく。

そして、間髪いれず、「バックスイングでもっと肩を回したほうがいいですね」と2発目の指摘。

さらに、「体重移動もできていませんね」、「腰もうまく回せていません」、「バックスイングで顔がつられて動いてしまっています」、「アドレス時の手の位置が良くありません」、「ボール捉える角度が悪いです」、「手首の返しをもう少しがまんしないと」……と、たたみかけられる

※ 実際には非常に優しく指摘していただいている。また、今回の取材では時間がなかったためにまとめて悪い点を指摘してもらったが、通常のレッスンでは段階的に悪いところを直していくので、初心者の方も安心してほしい。

特別サービス! 択捉ゴルフメモ公開


本誌は、宮内さんの指摘を記録した択捉さんのゴルフメモ(あくまで択捉さん視点での記録)を強引に入手したので、上の動画のスイングをもう少し詳しく解説しておこう。ぜひ動画を再生しながらご覧になってほしい。

アドレス
スタンスをもっと小さく。このときのスタンスは、通常の人のドライバーくらいになってしまっているらしい。始動は肩から。手先が先に動いてしまっている。

振り上げ~トップ、切り返し
肩がうまく回っていない。左肩が右足の位置にくるくらいまで肩を回す。また、トップで右足に体重がのっていないために切り返し時にリバースピボットが発生。一瞬、右足側に重心が戻っており、これではボールに力が伝わらない。

ダウンスイング~インパクト
クラブが体から離れ始めるのがはやい。すなわち、"溜め"ができていない。この辺りは宮内さんのスイングを参考に。溜めができていないので、ボールに当たる前にヘッドがトップスピードをむかえており、減速しながら打っているため飛距離が期待できない。また、ボールを捉える角度もよくない。ターフをとってからボールに当たっているかたちだが、ボールに当ててからターフをとるように。対策としては、トップするくらいの気持ちで鋭角に振る。加えて、スタンスが広すぎるために腰がうまく切れていない。もっと左腰を引く。インパクト前に腰が正面を向くくらいに。ついでに、インパクト時に右足踵を上げない。べた足で打つくらいの気持ちで。

フォロースルー
インパクトの後に両腕をビッと伸ばす。フィニッシュの逆Kの字の体勢はOK!

密かに持っていた自信を瞬く間に砕かれ、開始3分にして早くも青ざめる択捉さん。もはや50分という限られた時間で修正しきれないのは自明だが、編集部サイドではレッスン続行を決断。「優雅で、華麗な」は諦め、おっさんなりに醜くないスイングを目指し、直せるところを直してもらうことにした。

ここでお手本を見せてもらうことに。

択捉さんとは異なり、力みのない綺麗なスイング。正確に飛びそうである。

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