米IBMは、排熱を大学の暖房に利用するという新しい水冷スーパーコンピュータの開発計画を発表した。

このシステムは「Aquasar」と呼ばれ、従来の冷却技術を使用した同様のシステムに比べて、二酸化炭素排出量を最大85%まで削減し、年間約30トンの二酸化炭素を削減すると見込まれているという。

このスーパーコンピュータは、スイス連邦工科大学 チューリッヒ校(チューリッヒ工科大学)向けのシステムで、IBMは大学と共同で開発を行い、2010年から稼働する予定になっている。コンピュータは、1ラックに2つのIBM BladeCenterサーバで構成され、ピーク性能で約10テラフロップスを実現。各ブレードはプロセッサーごとに、微小規模の高性能水冷機能と、各ブレードを全体システムに脱着することを可能にする配水ネットワークと接続の入出力用の配管を装備している。

個々のブレードの配管は、サーバラックの大きな配管に接続され、それらは更に中央の配水網に接続、受動的熱交換機で熱交換され、大学の暖房システムに直接送られるという。

冷却液としては10リットルの水を必要とし、摂氏60度の水で冷却し、排熱時には摂氏65度になる。水は空気に比べて、約4,000倍効率的に熱を保持することができ、熱伝導効率も高いという。

チューリッヒ工科大学では、このシステムにより全体のエネルギー消費を約40%削減する見込みだという。