日本AMDは6月3日、PCプラットフォーム製品とサーバー向け製品における最新製品の概要と、今後のロードマップについて記者向け説明会を開催。台湾・台北で開催されているアジア最大のコンピュータ見本市「2009 COMPUTEX TAIPEI」でのAMDの出展と同等の内容を日本の記者向けに説明した。

「6コア AMD Opteron」の300mmのウェハーを紹介する日本AMD マーケティング&ビジネス開発本部 エンタープライズ・プロダクトマーケティング部 部長 山野羊幸氏

説明会では日本AMD マーケティング&ビジネス開発本部 エンタープライズ・プロダクトマーケティング部 部長 山野羊幸氏が、サーバー向け新製品の「6コア AMD Opteron(コードネーム:Istanbul)」の概要とプラットフォーム「transformation」、製品ロードマップを説明した。

AMDでは変化するサーバー製品のニーズに合わせて製品を出荷している。具体的には、マルチスレッド化、仮想化、電力効率、コストパフォーマンスに対する要求が挙げられる。このような要求を満たす製品として「6コア AMD Opteron」を投入しているとした。

34%も電力性能がアップし、AMD-V、AMD-Pなどに対応している

300mmのウェハーを使って、45nmプロセスで製造している「6コア AMD Opteron」は、すべての製品で同等の最高の機能を提供すること、非常に高い電力効率を持っていることなどの特徴を持つ。7月以降は、HEという低消費電力版、SEと呼ばれる高クロック版、EEと呼ばれる超低消費電力版の発表、出荷を行っていくとした。

「6コア AMD Opteron」は、2ソケット、4ソケット、8ソケットの各サーバーで6コアが利用可能で、仮想化支援機能「AMD-V」と省電力機能「AMD-P」をすべてのセグメントの製品に同じように実装している。他社製品では、廉価版だとクロックが下がるだけでなく、ハイパースレッドや仮想化支援などの機能が削減されることが多い。しかし、「AMD Opteron」では、どの製品でもすべての機能が実装される。

2003年のシングルコアの「AMD Opteron」と比較すると、「6コア AMD Opteron」の性能の高さが分かる

導入メリットとして、2003年のシングルコアの「AMD Opteron」を314個使ったシステムと比較すると、同等のパフォーマンスを実現する場合、わずか21の「6コア AMD Opteron」で済むため、年間の電力コストを最大95%削減可能。また、同じ314個の「6コア AMD Opteron」を使うと、電力コストそのものは変わらないが、最大で14倍の性能向上が期待できるとした。

このほか、「4コア AMD Opteron」と「Xeon X5570」で、何個の仮想マシンを1台のサーバーに詰め込めるかを算出した比較では、仮想マシン1台あたり「4コア AMD Opteron」は118ドル、「Xeon X5570」は160ドルと高いコストパフォーマンスを実現し、「AMD Opteron」の優位性を説明。電力性能では、「4コア AMD Opteron」と6コアを比較すると34%向上しているとした。

「4コア AMD Opteron」と競合のXeon 5000番台を比較。4コアを使っているのは既存PCで6コアを使ったPCがまだ登場していないため

4コアと6コアを比較すると、電力効率が34%もアップしている

機能では、新たにHTアシストを搭載。これまでは、キャッシュの同期を取る動作がブロードキャストで行われていて、これがオーバーヘッドとなっていた。そこで、欲しいデータにピンポイントでアクセスさせることでトランザクションが減り、オーバーヘッドの削減を実現させた。

また、「4コア AMD Opteron」も併せて提供する。ふたつの製品をラインアップすることで、さまざまなニーズを持つユーザーがCPUを選べるようにするとした。たとえば、エンタープライズ向けに仮想化、データーベース向けには6コアを、低コストで低消費電力が求められるITインフラには4コアが最適だとしている。

続いて、2010年第1四半期に登場する12コア版を紹介。4 Channel Integrated Controller、4HyperTransport Links、AMD-V 2.0、AMD-P 2.0に対応しているとのことである。加えて、多くのことは開示できないとしながらデモマシンも紹介。プラットフォームはMaranello、CPUはG34 Magney-Cours(12core)×2、メモリはDDR3-1333MHz 1GB×8、OSはWindows Server 2008 R2 RC。24コアが動作しているところを見せた。

2010年には12コアの製品を予定している

12コアのデモ。何も負荷をかけてはいけないとのことなので、性能までは分からなかった