三洋半導体は、HDMI端子のディスプレイ情報(EDID)格納用途向けに、EEPROMを応用した「デュアルポートEEPROM」を開発した。2009年5月より4Kbit品「LE24CBK22M」のサンプル出荷を開始する。サンプル価格は50円で、量産時は月産100万個を計画している。

4Kbit品「LE24CBK22M」のパッケージ写真

従来、HDMI端子を機器に搭載するには、1端子ごとに、解像度や入力信号などのEDIDを記憶するための不揮発性メモリが必要だが、HDMI端子数の増加に応じて、同じ数だけメモリの搭載点数も増加することとなり、機器の小型化やコストダウンにおける課題となっていた。

同製品は、1個で独立した2ポートからの読み出し/書き込みアクセスに対応できるため、部品点数の削減、実装面積の削減、およびそれに伴う製造コストの低減が可能となる。

従来方式(左)とデュアルポートEEPROMを使用した場合(右)の違い

また、独立したそれぞれの2ポートは従来のEDIDメモリと同等に扱えるため、保有の設計資であるEDIDメモリの接続ハードウェアおよびソフトウェアをそのまま使用することが可能だ。

8ピンの汎用EEPROMで従来空きピンとなっていた部分に2ポート目のインタフェース端子(SDA/SCL端子)を搭載したため、一般的な汎用EEPROMと同一のピン配置、小型パッケージを実現。このため、一般的なROMライタでの書き込みが可能で設備投資を抑制でき設計変更の負荷も少ないため、従来品からの置き換えが容易にできるようになるという特長を持つ。

さらに、データ書き込み時において、独立した2ポートのメモリ領域を結合し、連続した1つのメモリ領域として機能させる「コンバインモード」を搭載。ポート1から2端子分のディスプレイ情報を同時に書き込むことが可能で、書き込み工数の低減が可能。

通常動作時は、SCL1/SDA1によって読み書きが行われるBank1(2Kbit)の領域と、SCL2/SDA2によって読み書きが行われるBank2(2Kbit)の領域はそれぞれ独立に扱われ、1個のEEPROMでEDID用メモリ2個分の動作をさせることができる。

通常動作時の回路図

一方、書き込み時に適用可能な"コンバインモード"により、Bank1の2KbitとBank2の2Kbitが統合されて4Kbitの1つのメモリとして扱われ、SCL1/SDA1によって書き込みが行われることとなる。工場で初期設定を行う場合に、2個分の初期設定値書き込みを1回で済ませることが出来るため、工数の削減とスピード化が可能となる。

「コンバインモード」で書き込みした時の状態

このほか、最大周波数は400kHzで、消費電力はスタンバイ時で2μA(Max)、読み出し時で0.5mA(Max)、書き換え回数は100万回となっている。