Exhibit Showcaseから

今回のConferenceにあわせて、多くのベンダーが新製品のリリースを出すと共にその新製品をExhibit Showcaseに持ち込んで展示を行った。この中で気が付いたものをいくつかご紹介したい。

Fresco Logicは、昨年秋のIDFではFPGAの上にUSB 3.0のHost/Deviceを実装してのデモを行っていたが、今回はいきなりxHCI Host Controllerチップを持ち込んだ(Photo16)。同社は本来USB 3.0 Host/DeviceのIPを販売している筈だったのだが、なんと方針転換。IP販売は中止し(厳密にはこれは正確ではない。後述)、Host Controllerを製造するビジネスに切り替えたのだと言う。これに伴い、従来同社のProductsページに掲載されていたUSB Host/DeviceのIPは姿を消してしまった。

Photo16: 中央にあるのがそのチップ。

Photo17: こちらはFaraday Technologyのブースにおける動作デモの様子。Photo16と同じボードであるが、Photo16のFresco Logicのシールの下にはFaradayのシルクが入っていた訳だ。

更に驚くべきはこのHost Controller、なんとUMCの130nmプロセスで製造されているとの事。Fresco Logic自身はあくまでLink層から上のIPしか持っておらず、PHYに関してはPIPEで接続する事になっていたが、このPHYを提供しているのはFaraday Technology。言ってみればFaraday TechnologyがFresco LogicのIPを独占的に買収し、チップの形で再販するようなビジネス形態になってしまったわけだ。

Faraday Technology自体はUMCとの関係が深く、そんなわけでUMCの130nmを使っての製造となったが、130nmクラスだとその他のファウンダリ(例えばTSMCなど)でも殆ど差は無いので、他のファウンダリを使うことも技術的には可能だとか。またFaraday Technology自身はASIC Serviceなども行っており、例えばUSB DeviceのASIC製造を請け負う際に、USB Device ControllerにFresco Logicがかつて提供していたUSB 3.0 Device IPを組み込むような形でのIP提供も可能という話であった。またBase Driverに関してはIntelが提供するxHCI Driverがそのまま使えるそうで、事実PILにおいても同社のHost ControllerとIntelのxHCI Driverの形でテストを行っているそうだ(もっともこれは、NECの様なWindows XPのサポートは期待できないという事でもあるのだが)。

ちなみに価格などは「今はまだ言えないが、もしCOMPUTEXに来るなら、Backdoor Meetingの時に教えてあげる(笑)」という返事が返ってきた。ただ130nmという枯れたプロセスであり、製造原価自体はかなり安いと思われる。NECの方はサンプル価格が\1,500であるとすでに公開されているが、おそらくこれと同等以下での提供になると思われる。