スモールビジネスのWindows 7への移行を支援するために、米Microsoftは仮想化技術を用いてWindows 7にWindows XP環境を追加する「Windows XP Mode」を用意し、XP世代のアプリケーションのサポートを強化する。米国時間の28日に同社はWindows XP Modeのベータ版を4月30日にリリースすると発表、またシステム要件など詳細を明らかにした。

Windows 7のデスクトップ環境からWindows XPアプリケーションを利用

Windows XP Modeは、仮想Windows XP環境のパッケージとWindows Virtual PCの2つで構成される。Windows XP Modeへのアプリケーションのインストールは、Webダウンロードからや製品CD/DVDからなど通常のプロセスと同じ方法で行う。導入されたアプリケーションは自動的にWindows 7のスタートメニューに追加され、Windows 7のプログラム同様に起動できる。またWindows XPアプリケーションをピンして、Windows 7のタスクバーから利用することも可能だという。

Windows XP Modeを動作させるためのシステム要件はIntel-VTまたはAMD-VをサポートするCPUを備えたPCで、2GB以上のメモリーと15GB以上の空きストレージスペースが必要。Windows 7 Professional、同Ultimate、同Enterpriseなどが対応する。最終製品は、OEMやシステムビルダーによるプリインストールとダウンロード配信の2つの方法で提供される。

MicrosoftのScott Woodgate氏は、Windows XP Modeが"スモールビジネス向け"である点を強調している。コンシューマ向けアプリケーションの中には3Dグラフィックスやオーディオ、TVチューナーなどハードウエア・インターフェイスの拡張機能を必要とするケースが多く、それらは仮想化環境でうまく動作しない。そのため「Windows XP Modeで動作するアプリケーションのスイートスポットは、基本的なWindows APIに従った(旧世代の)ビジネスおよびプロダクティビティ・アプリケーションだ」とWoodgate氏。

より大規模なビジネスに対しては「Microsoft Enterprise Desktop Virtualization (MED-V) 2.0」を用意する。これはMicrosoft Desktop Optimization Pack (MDOP)のコンポーネントの1つで、Windows Virtual PCの集中管理と監視、仮想イメージのリポジトリと配信などを実現する。現在Windows Vista向けにバージョン1.0が提供されており、Woodgate氏によるとWindows 7の一般リリースから90日以内にバージョン2.0のベータ提供を開始するそうだ。