Continua Health Allianceは、2月3日に発表した「コンティニュア設計ガイドライン第1版」を元に開発された日本国内向けのパーソナルヘルスケア機器などの試作品を用いたデモを実施した。

ガイドライン第1版の概要などについては、発表会のレポートを読んでもらうとして、ここでは実際にどういったことができるのかを試作品を用いた様子を交えて紹介したい。

インテルの事業開発本部 デジタルヘルス事業部長でContinua Health Allianceの日本地域委員会代表を務める石川真澄氏

ちなみに、対象となる機器は「パルスオキシメータ」「血圧計」「体温計」「体重計」「血糖値測定器」「フィットネス機器」「生活活動モニタ」の7種類となっており、無線ではBluetooth、有線ではUSBでPCなどと接続される。

なお、Continua Health Allianceの日本地域委員会代表はインテルの事業開発本部 デジタルヘルス事業部長である石川真澄氏が務めている。機器メーカーの人間ではなく、チップメーカーのインテルが代表を務めることに関して石川氏は、「各社に対し中立的な立場で付き合える立ち位置にいるのがインテルであり、さまざまな機器メーカーと連携してユーザーにメリットを感じてもらえるようリーダーシップを発揮していくことが使命」と語る。

健康情報の管理を簡略化

デモは大きく3つに分かれていた。1つ目は「家庭内での個人の健康情報の管理」として、現状の健康データの管理手法とガイドライン対応機器を用いた違いの説明。

各機器のデータを受け取ったPC(使用機種は富士通の「FMVらくらくパソコン」)

現状のデータ管理といえば、血圧や体重といった個別のデータをメモ書きするかPCに手打ち入力するといったような使われ方がされている。また、PCに接続できる場合でも、それぞれの情報ごとに専用のソフトウェアを用意して管理といった形が主であり共通性を持たせることなどができていないのが実情である。

一方、Continuaのガイドラインで規定された機器であれば、BluetoothでPCと接続できるため、例えば体組成計で計測した各種データ(体重、体脂肪、BMI値など)を一括して転送でき、IEEE 1073に準拠させたデータフォーマットのプロファイルを用いたソフトであれば、どのようなものでも(例えばExcelでもマクロを用いれば)、対応可能とのことである。

デモではイーストが開発を行っている体重計、体組成計、血圧計、歩数計の測定データをパソコンで管理することが出来るソフトウェア「めた簿」にデータを転送。複数の異なったデータを1つのアプリケーションで管理できることを披露した。

血圧計はオムロンヘルスケアの試作品を使用

体重計はエー・アンド・デイの「UC-321PBT(コンティニュア対応)」を使用

これまでExcelに手打ち入力していたデータ(左)もBluetooth経由で自動的に一括管理が可能に(右)(ちなみにめた簿の下側に見えているウインドゥは普段は見えないようになっている"めた簿"のデータプロバイダ)

ネットとの連携

2つ目は「ネットサービスとの連携」である。ウイングスタイルの運営する運動系SNS「ジョグノート」と、歩数計のデータを連動させて表示させるデモが行われた。

デモはオムロンヘルスケアの歩数計とタニタの体組成計を用い、SNSに歩いた数値や体重やBMI、消費カロリーなどを表示させるというもの。歩数計はクレードル経由でPCと連携、体組成計はそのままPCと接続、それぞれのデータをサーバに自動で送信し、SNS上に表示させるというもの。SNSのため、知人の情報も見たり、コメントを残すこともできるほか、「将来的にはトレーナからの助言なども得られるように拡張していければ」(インテル ソフトウェア&サービス統括部 アプリケーション技術部 アプリケーション・エンジニアの林浩史氏)とのこと。

オムロンヘルスケアの歩数計とクレードル(クレードル側にBluetoothが内蔵され、PCとペアリングした後、データを送信する)

タニタの体組成計「BC-503-Continua」(試作品)

ジョグノートに表示されたところ(このほか、知人の状況なども見ることができる)

遠隔管理も可能に

3つ目はネットワークを活用した「遠隔管理などへの応用」である。先述のジョグノートを例に出すまでもなくネットワークを経由することで、遠隔地で得たデータを別の場所で見ることができるため、地方に住む年老いた父母の健康状態などを都心に住む子供がチェックする、といったことも可能となる。

デモでは測定データをシャープのWILLCOM D4を元にした試作品と歩数計ならびに血圧計、体重計を連動、ブラウザ上でそれらの計測データの確認を行った。

血圧測定の様子(使用している機器は、血圧計がエー・アンド・デイの「UA-772PBT」(コンティニュア対応)であり、そのデータをシャープのWILLCOM D4をベースにしたモバイル・ヘルスケア・システム(試作品)を経由して、インターネット上へと送信される仕組み)

データが送信されるとそのデータをチェックしてくれるといったこと(右)もできるほか、その日のデータが送信されていなければ閲覧者に注意を促す(右)といったこともできる(ちなみにこのアプリケーションは林氏が3日程度でサーバからすべて構築したデモ用のサイトとのこと)

デモでは取り上げなかった企業も含めると、現在、日本市場に向けて製品・サービスの開発に取り組んでいる企業は14社ほどあるという。

こうしたContinua対応の機器だが、東芝がBluetoothのとIEEE 1072のスタック部分を作製、現在スタック側でデータを受けて各ユーザに振り分けできるような開発が進められているという。また、BluetoothのチップはCSRが、モジュールはパナソニックが作製しており、こうしたものを活用することで、機器メーカーは「自分達ですべてをインプリメントしてチューニングする必要がなくなり、かなり容易にシステムの導入ができるようになるはず(使用しないで作製することももちろん可能)」(同)とのこと。

なお、4月21日に発表が予定されているBluetooth 3.0をContinua対応機器が実装可能か否かについては、確認が必要としており、可能と判断されれば随時対応していけるはず、としている。