イギリスの携帯事業者はデータ通信サービスに力をいれており、各社ともHSDPA回線を利用したモバイルブロードバンドサービスを提供している。その中には、旅行者に便利なプリペイドサービスもある。そのプリペイドのモバイルブロードバンドサービスをロンドンで利用してみたので紹介しよう。

各事業者が格安でパッケージを提供

イギリス・ロンドンの街中は携帯電話の広告だらけだ。通信事業者やメーカーなどがさまざまな広告を出しており、ロンドン名物の二階建てバスも"ケータイ広告"化されたものをよく見かける。

携帯広告だらけのロンドン。二階建てバスも携帯の広告が目立つ

3のモバイルブロードバンド広告。各社同様の広告をあちこちに出している

それらの広告の中で、最近目立っているのがモバイルブロードバンドの広告だ。この広告では、HSDPAに対応したUSBモデムと回線のセット販売を宣伝している。イーモバイルが同等のものを販売しているので日本の方にもサービス内容はおなじみだろう。イギリスには大手通信事業者が4社あるが、各社ともこのモバイルブロードバンドサービスを提供している。

各社がこのセット販売に力を入れる背景は、音声通話や携帯電話からのインターネットアクセスでは今後も加入者数や通信費収入の大幅な伸びは期待できないが、モバイルブロードバンドであれば手軽な2回線目として消費者にも売りやすいといった理由があるからだろう。またモバイル用途としてだけではなく、自宅やオフィスに手軽に高速なインターネット手段を引く手段としても有効である。

各社のパッケージはさまざまなものがあるが、1年から2年の固定契約でモデムは無料、データ通信料金は15ポンド(約2,000円)/月で3GB、30ポンド(約4,000円)/月で5GBというものが平均的なようである。

このように大手通信事業者がモバイルブロードバンドの競争を行っているイギリスでは、各社からプリペイド方式のデータ通信サービスが提供されている。これらのサービスは、うれしいことにイギリスの非居住者、すなわち海外からの旅行者や出張者も簡単に利用できるのだ。

旅行者にも便利なプリペイドのモバイルブロードバンドサービス

イギリスではプリペイド携帯電話(プリペイドSIMカードと携帯電話のセット)が一般的に販売されており、非居住者でも簡単に購入できる。モバイルブロードバンドサービスにも同様のプリペイドサービスがあるので紹介しよう。

このプリペイドサービスを利用するには身分証明書と住所が必要だが、住所はホテルのもので代用できる。なお住所の確認として郵便番号を聞かれる場合があるが、ホテルの名刺などには郵便番号が記載されているのでそれを伝えれば問題ない。

各事業者のプリペイド・モバイルブロードバンドの価格は以下の通りである。なおこの価格は2009年3月時点のものなので、最新の価格は店頭か各社のWEBページで確認してほしい。

事業者 モデム データ料金
T-Mobile 39.13ポンド 2ポンド/日定額
Vodafone 39.00ポンド
(データ料金15ポンド込み)
15ポンド/1GB
O2 29.35ポンド 2ポンド/日定額
7.5ポンド/週定額
15ポンド/月定額
3UK 29.35ポンド 10ポンド/1GB
15ポンド/3GB
25ポンド/7GB

料金を見るとO2が安いのだが、店頭ではモデムのみ販売し、料金はPCを使ってインターネット上から追加する必要があるなど若干使い勝手が悪いようだ。また3(3UK)は3GBの料金込みのセット品もある。便利なのはT-Mobileだ。2ポンド/日定額、料金も店頭や街中で購入できる残高追加(Top-UP)カードが利用できる。毎日大量のデータを利用する人にはうってつけだろう。ただし残高がなくなると利用できなくなるから、利用前には残高の確認と適時残高を追加しておく必要がある。また手軽さではVodafoneだろうか。購入すれば即座に1GB利用できるため、料金追加などの煩わしさがない。どの事業者の製品を選ぶかは、目的に応じて決めるといいだろう。

Pay as you goまたはNo Contractとあればプリペイドサービスだ。これは3の店頭パッケージ(3GB込み)

各事業者の店舗のほか、代理店のCarphone Warehouseでも購入できる