ドメイン補完機能を制御する

Mozilla Firefox 3(以下、Firefox)のURL入力・表示領域であるロケーションバーには、入力したキーワードを不完全なURLとして認識した場合、URLの前後に文字列を追加してURLを自動補完する「ドメイン補完」機能と、キーワードを元に検索サイトによる検索実行を行なう「キーワード検索」機能が備わっています。

前者は利便性は高いかもしれませんが、これがちょっとしたくせ者。「browser.fixup.alternate.prefix」では、プレフィックス(接頭辞)として「www.」。「browser.fixup.alternate.suffix」では、サフィックス(接尾辞)として「.com」が定義されており、「www.microsoft」と入力した場合、"これはたぶんサフィックスが抜けている"と判断され、「www.microsoft.com」へ自動アクセスするというもの(図01)。

図01 ロケーションバーに「www.microsoft」と入力しますと、サフィックスである「.com」が自動補完され、

「www.microsoft.com」に自動アクセスできます

本来、ドメイン補完機能はキーワード検索機能の代わりとして用意されているため、排他的に動作するように設計されていますが、実際にはキーワード検索機能が有効な状態でもドメイン機能は動作します。一見便利そうな機能に見えますが、意図しないWebサイトにアクセスする可能性もあり、最近ではフィッシングサイトが跋扈(ばっこ)するようなご時世ですので、URLの補完機能はあまり好ましくないと考える方も多いことでしょう。

また、Firefoxでは閲覧できるのにInternet Explorerではドメイン補完が行なわれないため、アクセスできないといった小さなトラブルが発生する可能性も。そこで、ドメイン補完機能を無効にするチューニングを紹介します。

ドメイン補完機能は「browser.fixup.alternate.enabled」で制御されており、既定値である「true」から「false」に変更することで、同機能を無効にすることができます。もちろん同機能を活かしつつ、URLのサフィックスやプレフィックスを変更することも可能です。

「home.foobar.co.jp」といったイントラネットへアクセスしやすくさせる場合は、「browser.fixup.alternate.prefix」の設定値を「home.」、「browser.fixup.alternate.suffix」の設定値を「.co.jp」に変更することで、「home.foobar」もしくは「foobar.co.jp」でアクセスできるようになります。お好みに応じてチューニングターゲットを変更してください(図02)。

図02 「browser.fixup.alternate.enabled」の設定値を「false」に変更した状態で、ロケーションバーに「www.microsoft」と入力しても、「www.microsoft.com」へアクセスできなくなります

キーワード検索で用いる検索サイトを変更する

さて、前述のキーワード検索機能ですが、本来URLアクセスを行なうロケーションバーを用いるため、最初に入力された文字列はURLとしてDNSサーバーを用いた名前検索が行なわれます。ここで解決しない場合、GoogleのBrowse by Name機能を用いてWeb検索が行なわれるというもの(図03)。

図03 ロケーションバーに「mycom1」と入力しますと、

DNSサーバーへアクセスし名前の解決を行ないますが、

対象となるサイトが存在しない場合、入力文字列をキーワードとして検索が行なわれます

この検索サイトは「Keyword.URL」で制御されており、初期状態では「http://www.google.co.jp/search?ie=UTF-8&oe=UTF-8&sourceid=navclient&gfns=1&q=」となっています。ただし、必ずしもGoogleが設定されているわけではなく、バージョンによってはYahooが既定値の検索サイト「data:text/plain,keyword.URL=http://search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&p=」となっていることも。

どの検索サイトを用いるかは、あくまでも個人的な好みとなるため、ここではいくつかの設定例を紹介しましょう。たとえば、Firefox 1.5のように、検索キーワードにもっとも関連性が高いと判断されたWebページを直接開くGoogleのI'm Feeling Luckyを使用する場合は、設定値を「http://www.google.com/search?ie=UTF-8&btnI=&q=」に変更してください。

通常のGoogle検索を用いる場合、設定値は「http://www.google.com/search?ie=UTF-8&q=」となります。また、Yahoo!検索する場合は設定値を、「http://search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&p=」としてください(図04)。

「keyword.URL」の設定値をYahoo!に変更して、キーワード検索を行ないますと、このように検索サイトを変更できます。検索ボックスと併用する場合は、ブログ検索など特定の検索サイトを設定すると使いやすくなります

ちなみに読者のなかには、"Firefoxの検索ボックスだけで十分。ロケーションバーのキーワード検索は使わない"という場合は、同機能を無効にしましょう。同設定は「keyword.enabled」で制御されており、設定値を「true」から「false」に変更することで同機能を無効にすることができます。入力したURLの間違いを素早く判断したい場合に有効なチューニングとなるでしょう(図05)。

「keyword.enabled」の設定値を「false」にしますと、キーワード検索が無効になります。ただし、「browser.fixup.alternate.enabled」の設定値が「true」の場合、ドメイン補完が行なわれるのでご注意ください

Firefoxのカスタマイズ方法に関しては、「Firefoxチューニング - Firefoxのカスタマイズ方法」をご参照ください。

阿久津良和(Cactus)