――Samsung、Sony Ericssonなど、端末メーカーの多くが複数のOSを利用しています
たしかに現在、他社はSymbian、Windows Mobile、Android、LiMoとさまざまな技術を利用しているようです。NokiaはSymbianにコミットしています。その理由は、さまざまなプラットフォームを利用することはコスト効果を生まないと考えるからです。
われわれはボリュームでS40、バリュー・ハイエンドでS60、タブレットでMaemoの3本柱を据えています。これらはNokiaの製品ポートフォリオにおいて非常に重要で、3本柱がともにコミットしています。
OSやUIは長期的戦略に基づいた大掛かりな投資が必要です。差別化できる端末の開発がさらに重要となり、効果的な投資と利用なくしては、この市場では競争できません。
――NokiaはTrolltech(ノルウェー)買収により、クロスプラットフォーム開発フレームワーク「Qt」などを取得しました。Qt Softwareの資産はOS戦略でどのように利用される計画ですか?
Qtはすばらしい技術で、Qt資産はSymbian Foundation(S60)、S40、Maemoのプラットフォームで利用できます。
Qtはふたつのことを実現してくれます。ひとつは、われわれのオペレーティング環境に共通のフレームワークをもたらします。これはソフトウェア開発の効率性を改善します。もうひとつは、UIのソフトウェア開発をモダンな方法で行うことができます。新しいUIの開発でも、差別化部分でも利用できます。これはNokiaのUI戦略にとって大きなステップです。
――GoogleがAndroidを開発したり、Acerがスマートフォンに進出するなど、他の業界のプレイヤーが携帯電話業界を狙っています。Nokiaの戦略は?
われわれは常に競争してきたので、競争には慣れています(笑)。
このところのトレンドとしては、ソフトウェアが中心的役割を果たすようになり、重要性が高くなったことがあげられます。
これはわれわれには良い状況です。以前からS60への投資を行っており、現在の変化は過去数年の当社の戦略や方向性を再確認するものです。さらにSymbianの買収とSymbian Foundationの設立により市場の変化に対応しています。Symbian Foundationの設立は、既存のライバルや新規参入と競合していくうえで優位に働くことでしょう。
このようなソフトウェアへのフォーカスに加えて、通信技術、産業デザイン、製品ラインナップなどこれまでの携帯電話ビジネスでの強みを考慮すると、Nokiaには他社にはない競争優位性があります。大きなチャンスがあるといえます。
たとえば無線デザインはわれわれが伝統的に強い部分で、新規参入はもちろん競合他社を大きくリードしています。ハイエンドの携帯電話は収益性が高く魅力的な市場ですが、ノウハウなしには設計が難しいのが事実です。Nokiaはこのようなハイエンドからローエンドまでを手がけてきました。ダイナミックに変化するモバイル市場でユニークなポジションにあると思います。
――逆に、Nokiaがネットブックを提供するような計画はありますか? Maemoベースのタブレットを提供していますが、これをネットブックに拡大するとか?
Maemoのすばらしい点はほとんどなんでも可能であることです。現在、NokiaはタブレットでMaemoを利用していますが、サポートするレガシー技術がほとんどないので、あらゆる種類のコンセプトをMaemoで実験できます。
Nokiaは規模を持った企業であり、研究開発へも継続して投資を続けています。ソフトウェア、サービスに限らず、さまざまなチャンスをうかがい、検討しています。