デジタルアクトは、映画産業とデジタルシネマへの貢献を目指し、現在公開中の映画「ラ・ボエーム」の素材に、独自のデジタル画像処理技術「FantaPix」を用い、フィルム映像のデジタル化を行うデモを開催した。

デジタルアクトの代表取締役・斉藤和久

デジタル画像処理技術「FantaPix」は、新開発のアルゴリズムを装備し、従来映画のフィルムからデジタル映像への変換処理を行う際に損なわれてしまうフィルム独特の質感を、自然な色調、ディテールでデジタル化するという。なおかつこの技術では、映像を拡大しても画質を損なわないため、昔の16ミリフィルムやドキュメンタリーなどの低解像度の映像を、画像劣化させることなく大画面で上映することも可能だという。また、高画質の映像を3分の1程度に可逆圧縮することが可能な技術も搭載しているとのこと。

拡大しても画像が荒れない「ピコピクセル化技術」や、画像劣化しない「可逆圧縮技術」がFantaPixの特徴。可逆圧縮技術を使うことにより、従来1Mバイト回線で約5~6時間かかっていたデータの場合、約半分の時間でデータ伝送が可能だという

今回FantaPixを用いてデジタル化を行った映画「ラ・ボエーム」は、非圧縮のデジタル処理を行うと、データのサイズが2kの場合、約2TBになるという。しかし、同技術を用いたことにより、高画質な映像を3分の1程度のデータに可逆圧縮でき、データの伝送が従来よりも容易になるという。また映像自体も従来の映画作品の映像より、鮮やかに映し出すことに成功したという。特に雪の白さなどに、FantaPixの技術が発揮されているとのこと。

デジタルアクトの代表取締役である斉藤和久は同技術の映画産業での利用について「FantaPixを使うことにより、劇場でのサービスの向上にデジタルでの配信ソリューションという形で貢献できると思う」と語った。

今後、さまざまな家庭用製品に同技術を活用していくという