数は増えても投資に結びつかない半導体
2009年度第1四半期で損失を計上したAMATだが、同社を取り巻くエレクトロニクス業界全体の動向はどうなっているのか。
渡辺氏は、半導体業界、ディスプレイ業界、太陽電池業界それぞれについて見方を示した。半導体については、「2009年の製造装置設備投資は、前年比で約50%減となる100億から120億ドル程度の見込み」(同)とし、「その内、上限に達するためには、2009年の後半には装置需要が増加する必要がある」(同)とした。
ただし、2007年のエレクトロニクス全体の売上高は1兆4,040億ドル(全世界のGDPの3.6%)、2008年が1兆4,300億ドル(全世界のGDPの3.5%)であり、その内半導体の売り上げは2007年が2,581億ドル、2008年が2,511億ドルとなっている。さらに、その設備投資額は2007年が542億ドル、2008年が391億ドルで、その内半導体製造装置は2007年が346億ドル、2008年が239億ドルとなっており、「ICやメモリの売れる数自体は増えている。しかし、設備投資が進んでいない」(同)という状況であり、「2009年は、半導体デバイスの出荷個数自体はそれほど変化はないが、問題は値段になるはず」(同)と指摘、「生産調整も進んでいることから、現在ほどの下落は起きないものの、設備投資も進まない、という状況になるのではないか」(同)との推測を語った。
ディスプレイ業界については、「在庫調整が徐々に進んでおり、パネル価格はこれ以上無い位まで下がったことから、堅調に推移するも需要の増加が期待できないことから2009年中の設備投資額の上昇は期待できない」(同)とした。
そして、太陽電池業界については、2009年の需要成長率を約7%と予測。「世界規模の不況で、設備投資の削減とコストの上昇、市場の成長鈍化が太陽電池の需要を押し下げる可能性がある」(同)としながらも、「成長の兆しも見えており、少なくともパネルコストは予定通り下がって行くはず」(同)とした。
ただし、大まかな流れとしては、2011年ごろには総量7~12GW程度の新規太陽光発電システムの導入が全世界で行われることが見込まれており、AMATとしては、「早い段階から薄膜系と結晶系の両輪で太陽電池製造装置メーカーとしてシェア1位を狙っていく」(同)とする。