サーバボードを利用するのに必要なハードウェア要件は、インテルまたはAMD製のCPU、Windows XPの場合512MB以上、Windows Vistaの場合1GB以上のメモリ、そしてDVI出力可能なビデオボード(NVIDIA、AMD、Intelなど。詳しくはこちらのサイトで確認してほしい)となっている。いずれも、この製品に関心を持つパワーユーザーのマシンなら十分満たされている水準だろう。

これだけのスペックで利用できるのは、画面の転送に必要な圧縮処理のほとんどをサーバボード上で行っているからだ。ボードを見てみると、NECが独自開発したチップである「リモートスクリーンエンジン」と、TI製のDVIレシーバーチップ、ドーターボード(脱着不可)として実装されているLANカードが確認できる。リモートスクリーンエンジンは映像・音声の圧縮と暗号化を行うチップであり、すなわちこのサーバボードの実体は、DVI映像の入力に対応したビデオキャプチャカードとLANカードが一体になったものとして捉えることができる。

オレンジ色のヒートシンクの下にあるNEC独自の「リモートスクリーンエンジン」

ドーターボードの下に隠れているのがTIのDVIレシーバーTFP401APZP

実際にPCに装着する際は、ビデオカードからのDVI出力をディスプレイにつなぐ前に、一旦サーバボードに入力してやる形になる。これは付属のマルチケーブルを利用することで行える。普段デスクトップPCを利用している間は、サーバボードはDVI出力をディスプレイへパススルーするが、外部からアクセスがあったときだけ画面内容の圧縮・暗号化を行うという動作をする。サーバボード上のリモートスクリーンエンジンが圧縮・暗号化を担うので、外部から操作されている間もデスクトップPCのCPUにはほとんど負担はかからない。

サーバボードのブラケット部には、DVI・音声の入力とスルー出力をまとめたAVマルチ端子が設けられており、付属の専用マルチケーブルで接続する。ビデオカードとディスプレイの間にサーバボードが入り、子機からアクセスされているときだけボードが画面内容をキャプチャするといった仕組みだ

NECの資料によれば、この圧縮・暗号化処理をCPUに負担させた場合、2GHz動作のCPUではCPU使用率100%になっても秒間10コマ程度のパフォーマンスにとどまるのに対し、専用チップを利用することで、CPU使用率5%で秒間30コマのなめらかな映像をすることができるのだという。

なお、実際に子機から接続して使用する際のデスクトップの解像度は、仕様上1024×768ドットまたは1280×768ドットのみに限られている。その他の解像度のディスプレイが接続されているときも、子機が接続している間は自動的に対応解像度に変更される。