新製品で可能となった新機能が、Windowsが標準で搭載している「リモートデスクトップ」の仕組みを使った接続が可能となったことだ。これまでのLuiで「リモートスクリーン」と呼ばれていた方式では、いわば画面全体を動画コンテンツとしてストリーミングしており、デスクトップPC側で再生した動画やFlashなどもなめらかに表示されるのがメリットだった。

サーバボードを取り付けた自宅デスクトップPCへの接続時に、リモートデスクトップ方式でのアクセスが新たにサポートされた

一方でこの方式は動画圧縮なので、ビットレートが落ちるとテキストのにじみや、表示内容の変化が大きい部分でのブロックノイズ発生につながる。そのため、ネットワークに十分な帯域がない場合には画面の一部がモザイク状になることがある。動画視聴の場合、これは単に画質の低下にあたるわけだが、Webサイトの文字を読んだり、オフィスソフトを使って書類を作るときなどは、文字が判別できないと作業自体が成り立たない。

これに対して、今回サポートされたリモートデスクトップはWindows XP ProfessionalやWindows Vista Business/Ultimateなどに標準搭載されている方式で、動画の再生では秒間わずか数コマしか転送できないが、文字のにじみなどはない。また、利用するネットワークの速度が遅い場合、デスクトップの壁紙表示をやめたり、画面効果をオフにしたりと、転送する情報量を削ることもできる。

リモートデスクトップ接続時の操作は、Windows PC同士でリモートデスクトップを利用するときとまったく同じ。相手のマシンに接続されるとWindowsのログイン画面・ロック解除画面が表示されるので、ログインパスワードを入力すればデスクトップが表示される

利用できるネットワーク帯域にあわせて画面効果などのオンオフができる。用意されている設定項目もWindows PCのものとほぼ同じだ

従来のリモートスクリーン方式では、IEEE802.11g無線LANで接続しているときでも、小さい文字の周囲に発生するノイズで文字の判読が難しい場合があったが、リモートデスクトップ方式で接続すればその問題はない。

また、無線LANに比べると最大通信速度の低い携帯電話(HSDPA)のパケット通信でもLuiを利用できるようになった。現在はノート型子機の「Lui RN」が、イー・モバイルのCF型通信カード「D01NX」および「D01NXII」に対応している。無線LANスポットを探さなくても接続できるので、いつでもどこからでも自宅のデスクトップPCを利用できるということになり、Luiの価値が一層高まる。

従来のリモートスクリーン方式は、画面全体の描画レスポンスが落ちることはないが、回線が遅いとノイズが発生し文字が判読しにくくなるのがデメリットだった(左)。リモートデスクトップの場合画面の書き換え自体には時間がかかる場合もあるが、にじみなどはないのでテキスト中心の作業を行うときなどは見やすい

ただしリモートデスクトップ方式の場合、画面を動画として転送するリモートスクリーン方式に比べて画面の書き換えが遅いため、マウスによる細かい操作が必要な作業などには向いていない。また、マイク機能が使えない、リモートデスクトップのホスト側になれないWindows Vista Home Premiumには対応しないなど、制限もある。どちらの方式で接続するかは、接続時にラジオボタンで簡単に選択することができるので、用途によって使い分けるのが良いだろう。

次回は、外出先から自宅のパワフルなPCを利用したいシーンの一例として、出かけた先で撮影した動画を編集・アップロードする作業を実際に行ってみよう。