今では実用性というスタンスから、G-SHOCKを手放せなくなってしまった藤枝さん。次に購入する際の選ぶ基準について話を向けると、「限定モノとかには、今は興味がないですね。G-SHOCKってプレミアム価値がどうとかそういうもんじゃないと思うんです。結局本人が使って、その価値観の中で大切にするものですからね。

個人的にはデジタルよりアナログが好きですね。視認性がいいから。デジタルはパッと見て時刻がすぐにわかるけど、時刻がわかるのと、アナログのように前後の経過を含めて、相対的な時間がわかりやすいというのとは違います。俺は、時間がわかるほうが大事。この時点から10分後って何時とかね。デジタルだと、足し算したり引き算しないといけないでしょ。昔、集めていた対象はほぼデジタルのG-SHOCKなんだけど、使おうかなって思って買ったのは全部アナログでしたね」。

アナログ式ウォッチの利点については、筆者も同感である。さて、これからのG-SHOCKに望むことについて藤枝さんは、「機能的にはこれ以上はいらない」ときっぱり。タフムーブメントの搭載で、針位置補正も搭載される現行モデルについては、「機能面では今のままでも充分だけど、時間がより狂わなくなるならいいですよね。できるようになったって言うのであれば、『ありがとうございます』という感じです。あとは、スーツ用にしているコックピットモデル『G-511D-1AVCR』は、仕事で使うとしたらガードが余分だなって感じますね。機械を扱う人間の感覚としては、余計なものがついていると壊れるって思ってしまうんです。だから、次に選ぶとしたら、デザイン的にもっとシンプルなものがあれば嬉しいですね」

長持ちさせようとは思わない

さすがヘビーユーザーだけあって、G-SHOCKに対する言葉のひとつひとつが深い。そんな藤枝さんにとって、G-SHOCKとはどんな存在なのだろう?

「普通にしてつける時計だからなぁ。なんですかっていわれたら困るけどね(笑)。そういえば12年くらい使っているものって、他にないな。10年を超えて使い続けられる工業製品ってあんまりないですよね。そうすると普段頻繁に使うもので、5年10年もつものって何があるかって言われると、逆に探すのに困っちゃうくらい。長持ちさせようと思って使っているわけじゃないんだけれどね。腐らない。割れない。そこらへんがメタルボディの強みなのかな」

「G-511D-1AVCR」(海外モデル)
さらに進化したデザインとフェイスカラーバランスが斬新な人気のコックピットシリーズ。メタルプロテクターを装備し、ガラス面への衝撃を保護しつつも、アナログとデジタルを融合させたハンサムフェイスが魅力だ。藤枝さんは4年前に購入し、スーツ着用時に装着するという

シンナーで洗うなどは、メーカー推奨の使い方ではないだろう。また、藤枝さんのようなスタンスで、10年以上動き続けたのは強運だったのかも知れない。けれど藤枝さんのMRG-120T-1Aは、12年前と変わらずに現在も動き続け、その腕元で輝き続けている。G-SHOCKのヘビーデューティーさを実証した一例として、大きなロマンを感じた。

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