幅広い分野での活用を期待

Alteraは12月15日(米国時間)、40nmプロセスを採用したFPGA「Stratix IV」の出荷を開始したことを発表した。同ファミリのターゲット市場は通信、放送、テスト機器、医療機器、軍用などとしており、ハイエンドな性能が求められる幅広い分野での活用が期待される。FPGAとして、初めて40nmプロセスを採用した同ファミリの性能とはどのようなものか、製品に込められた同社の想いも含め、日本アルテラ マーケティング部 ディレクタの堀内伸郎氏に話を聞いた。

日本アルテラ マーケティング部 ディレクタの堀内伸郎氏

同ファミリの話をする前に、同社のFPGA「Stratix」について少々触れておく必要がある。Stratixが登場したのは2002年、その後2004年に90nmプロセスを採用した「Stratix II」を、2006年に65nmプロセスを採用した「Stratix III」をそれぞれ発表してきた。そのStratixシリーズの新ファミリとして登場したのがStratix IVだが、これには高速トランシーバを内蔵した「Stratix IV GX」と非搭載型の「Stratix IV E」の2種類がラインナップされる。

ちなみにStratix IIIのラインナップは、多数のロジックを搭載するアプリケーション向け品「Stratix III L」とDSPおよび大容量メモリ使用のアプリケーション向け品「Stratix III E」の2種類となっている。また、Stratix IIには、無印品とオンチップトランシーバを搭載した「Stratix II GX」の2種類が用意されている。

つまり、Stratix IV GXはStratix II GXをより高性能化したもの、Stratix IV EはStratix III Eをより高性能化したものともいえる。GXはIIIでの提供をスキップしてIVでの提供となっているが、これに関して堀内氏は、「実はStratix IIIの発表時には、GXの提供も予定していた」と語る。しかし、すでにStratix II GXで6.375Gbpsまでの帯域をサポートしており、「IIIでGXを開発した場合、どのような性能が求められるのか、また提供時期が何時ごろになるかを検討した」(同)、その結果として、Stratix IIIでGXを提供しようとすると2008年での提供になってしまうとの結論が出たという。

Stratix IV GX「 EP4SGX230」のウェハ(左)とダイ(右)(画像提供:日本アルテラ)

また、社内では「TSMCとの共同プロセス開発の進捗状況を見て、予想よりもStratix IVの立ち上がり時期が早まりそうだと感じていた」(同)としており、2008年の第4四半期にStratix IVが提供を開始されたことを考えれば、その差が1~2四半期程度しかなく、製品の差別化が困難になることから、Stratix IIIでのGX提供をスキップしたという。

そのため、Stratix IVは、これまでのStratixシリーズで採られてきた通常版のStratixの提供の後に、GX版の提供という手順を変えて、先にStratix IV GXの提供を行い、その後Stratix IV Eの提供を行うとしている。

これは、「市場的にはGbps帯域のトランシーバを持つチップの需要が増えていくとの予測」(同)が働いているためでもあるとしており、特にPCI Express Gen2.0への対応が進むと見ている。PCIe Gen2.0ならば5Gpbsの伝送速度であるため、Stratix II GXでも一応の対応は可能だが、「サポートはできなくはないが、ジッタ性能が厳しい点や、プロトコルサポートのため内部回路を後から組み込む必要がありタイミング設計が収束しない問題も生じかねないという点、それによる内部回路の使用量が大きくなってしまうという点」(同)がチャレンジであり、デモ程度なら使用可能だが、一般には実用的ではないという。

Stratix IV GXでは、8.5Gbpsまでサポートしているが、始めから、前述のような回路などを内包しており、余分な問題などが生じないようになっている。また、「もしStratix IIIでトランシーバを搭載しても10Gbpsに対応するのは困難だったかもしれないが、Stratix IVでは非公式だが、10Gbpsオーバーのポテンシャルがある」(同)ということもIVにスキップした理由だという。