パナソニック セミコンダクター社は、低損失のGaNダイオードを開発した。同ダイオードは、新規に開発した半導体接合技術「ナチュラルスーパージャンクション」を採用している。

ナチュラルスーパージャンクションを用いた低損失GaNパワーデバイス

同技術は、GaN特有の分極電荷を用いて、表裏面に現れる電荷を生かすことで、耐圧を低下させることなくオン抵抗を低減できる技術。分極電荷では、GaNの表面と裏面に自然発生する電荷の平均値がゼロになることを発見、これにより絶縁体のように振舞うことを確認し、ダイオードに逆方向電圧を印加した場合に耐えうる電圧を電極間隔伸長のみにすることで向上させることに成功した。

また、キャリアが走行するチャネルを複数層形成し、さらにチャネルを露出するリセス構造に電極を形成することで、ダイオードに順方向電圧を印加した場合のオン抵抗の低減を実現した。

開発されたダイオードは、耐圧9,400Vでオン抵抗は従来の1,000mΩcm2から52mΩcm2へと引き下げられている。

これによりこれまで複数個のダイオードを用いていた機器でも1つのダイオードに置き換えることが可能となったほか、数百Vの民生用電力機器から数線Vの産業用電力機器まで応用が可能になるという。