米Mozilla Corporation モバイル担当バイスプレジデント Jay Sullivan氏

Mozillaがモバイルプラットフォーム向けのブラウザとして旗艦プロダクトに位置付けているのが「Fennec」だ。Fennecはフェネックと発音する。2008年10月には初のα版が公開されデベロッパやテスタにその姿を見せた。執筆現在での最新版は1.0α1英語版。Windows版とMac OS X版、それにLinux版が公開されている。UIも当初のデザインからかなりシンプルに洗練されたものへと改良されている。

Mozillaでモバイル開発を手がけているJay Sullivan氏およびChristian Sejersen氏が来日し、Fennecの取り組みやMozillaの開発姿勢を発表した。Mozillaがどういった姿勢でモバイルプラットフォームをとらえているか、今後どう開発を進めていくのかを知るうえで貴重なメッセージが伝えられた。

Fennec最新版 - 洗練されたUIとシンプル化された操作

Mozillaの姿勢を知る前に、まず公開されたFennecがどういったものであるかを知っておきたい。Fennec 1.0α1は「Fennec M9 (user experience alpha) for Maemo release notes」でダウンロードできるので、使ってみるといいだろう。起動したFennecはきわめてシンプルだ。上部にスマートバーとブックマーク表示ボタンがあるだけで他には何も表示されない。画面はドラッグできるようになっており、左右へのドラッグでタブやナビゲーションボタンが表示される仕組みになっている。上下へのドラッグでページをスクロールできる。画面のズームもデフォルトで機能する。

Fennec 1.0α1起動画面 - モバイルデバイスを考慮したシンプルなデザイン

画面を右へドラッグすると、画面左側にタブ切り替えが現れる

逆に左へドラッグすると、画面右側にブックマーク登録、ナビゲーションボタン、設定ダイアログのボタンが現れる

設定ダイアログのボタンをクリックするとアドオンや設定に関するダイアログがさらに右に展開される

画面上部にあるスマートバーは、アドレスバー、検索フィールドなどの役割をになう

画面上部にあるスマートバーは、アドレスバーであり検索フィールドであり、強力な入力補完フィールドでもある。なるべくキー入力をすることなく操作できるように工夫されている。Fennecのレンダリング能力はFirefoxと同等だ。

FennecはFirefoxと同じレンダリング能力を提供する。画面上部にスマートバーが表示されていないことに注目したい

またページをスクロールするとわかるが、スマートバーも一緒にスクロールして画面に表示されなくなる。画面が小さいモバイルデバイスを効果的に扱えるようにこうしたUIになっている。重要なのはコンテンツそのものだ。コンテンツの閲覧がより快適になるようにこうした仕組みになっている。

1.0α1は800x480の画面利用を想定して調整されている。QVGA向けの開発は現在進められており、年末には登場するのではないかとみられている。Windows Mobileに対応したバージョンは年末から来年頭を目処にリリースされる予定だ。Fennecはまだαリリースという段階だが、すでにアドオンの提供が始まってはじまっているところにも注目しておきたい。Firefoxと同じユーザエクスペリエンスがモバイルデバイスで扱えるようになることに魅力を感じているデベロッパは少なくないというわけだ。