台湾VIA Technologiesは、パシフィコ横浜にて開幕した「Embedded Technology 2008」の自社ブースにおいて、新フォームファクタである「Pico-ITXe」(Pico-ITX Express)を披露した。従来のPico-ITXとサイズは同じだが、アドオンカード用のコネクタ2つと、マウントホールが用意されるのが異なる。

新フォームファクタ「Pico-ITXe」の製品「EPIA-P710」

マザーボードの上に、アドオンカードが載る仕組み

Pico-ITXeはPico-ITXの拡張仕様

10×7.2cmのPico-ITXフォームファクタは、基板サイズが小さいというメリットがある反面、逆に小さいことによる拡張性の制約があった。Pico-ITXeでは、SFF-SIGで策定した標準規格「SUMIT」(Stackable Unified Module Interconnect Technology)のコネクタを備えることで、様々なI/Oボードを装着できるようになった。

コネクタはAタイプとBタイプの2種類があり、AタイプはPCI Express 2.0 x1、USB 2.0×3、LPC、SPI、ExpressCard等、BタイプはPCI Express 2.0 x1/x4のインタフェースを提供する。SUMITモジュールの大きさは7.2×6cmとなり、重ねて装着することが可能だ。

SUMITのコネクタは、左がAタイプ、右がBタイプ

SUMITモジュールとして展示されていた「PCO-UIO48」

Pico-ITXeフォームファクタの最初の製品として、「EPIA-P710」が展示されていた。CPUはC7/1.0GHzのままだが、チップセットは最新のVX800になっており、PicoでもChrome9のグラフィックコアが利用可能になった。また従来のPico-ITXは10層基板だったが、P710ではさらに増えて、なんと12層になっているそうだ。

■EPIA-P710とEPIA-P700の比較
モデル名 EPIA-P710-10 EPIA-P700-10L
フォームファクタ Pico-ITXe Pico-ITX
CPU VIA C7/1.0GHz
チップセット VIA VX800 VIA VX700
メモリ DDR2-667 SO-DIMM×1(最大2GB) DDR2-533 SO-DIMM×1(同1GB)
グラフィック VIA Chrome9 HC3 VIA UniChrome Pro II
サイズ 10×7.2cm

最新GPU搭載のMini-ITX?

VIAは同社のCPU・チップセット・グラフィックを組み合わせた「Trinity」プラットフォームを発表しているが、S3 Graphicsの組込み向けGPU「4300E」(DirectX 10.1世代)をオンボードで搭載したMini-ITX製品も計画中だという。同社のMini-ITX製品はグラフィックがやや弱かったということもあり、新製品には期待だ。すでに開発には入っており、来年Q2あたりには出る予定とのこと。

ARTiGOにはNano-ITXの新製品も

ベアボーンキット「ARTiGO A1000」では、基板上にCPUファンが取り付けられていたが、ヒートパイプを使ったファンレスバージョンも登場するようだ。また、従来のARTiGOはPico-ITXベースの製品となっていたが、Nano-ITXマザーボードが搭載される新シリーズも年内に発売される見込みだ。

ARTiGOがファンレスに

「Mobile-ITX」は6cm角に

Embedded Technology初日の19日にはプレスカンファレンスも開催されており、その席上、同社のDaniel Wu氏から超小型フォームファクタ「Mobile-ITX」のマザーボードが公開された。昨年6月のVTFで初めて紹介されたときには長方形だったはずだが、最新版では6×6cmの正方形になった模様。同社の"恒例"通り、面積では従来(Pico-ITX)のさらに半分になっている。

VIA TechnologiesのDaniel Wu氏

これが最新の「Mobile-ITX」フォームファクタ

Wenchi Chen氏がVTFで初めて紹介したときは長方形だった

プレスカンファレンスではベースボードも公開された

このフォームファクタは、これまでのITX規格とはちょっと異なり、主にモバイルデバイスへの搭載を狙うものとなる。仕様の詳細は不明だが、Wu氏が持ち込んだ基板にはC7が搭載されており、チップセットにはVX820という記載があった。ちなみにこの基板は動作サンプルとのことで、背面にはジャンパ配線が数カ所に見られた。来年Q2の登場予定となっており、もしVTFが復活開催されるようなら、そこでの発表となる可能性が高そうだ。