中国におけるウェブゲームの問題点

本レポートの冒頭で書いたように、ウェブゲームは今後数年間、中国において急速に成長していくことが予測されている。しかし、いくつかの問題点にも直面している。

ウェブゲームのライフサイクルは普通3カ月と言われており、オンラインゲームと比べれば明らかに短い。この短いライフサイクルの期間中に利益を出すという命題が、ゲームキャリアにとっては苦しいものとなっている。

さらに投資、技術などの面からみれば、ウェブゲームの参入障壁が低いため、ゲームコンテンツの同質化や過当競争を招きやすい。三国志を題材にしたウェブゲームは、これまでに毎月平均三本もリリースされてきたし、古代ローマ帝国期のヨーロッパを舞台に繰り広げられる戦略的シミュレーションゲーム「Travian」を模倣したゲームもたくさん出回っている。

同質化と過当競争が、ユーザーのゲーム体験に悪影響を与え、プレイヤーの流出を招くのではないかと懸念されている。ウェブゲームは、MMORPGよりプレイヤーを獲得しやすい半面、プレイヤーのロイヤルティも低いと言われている。いかに移り気なプレイヤーを自社のコンテンツに夢中にさせ、お金を払い続けてもらうか。キャリアにとって簡単なことではなさそうだ。

前述のように、ゲーム内広告は今後増大が期待される収入源のひとつとされているが、実際のところ、ウェブゲーム内広告は、中国においてはまだ成熟していない段階にある。ウェブゲーム内広告がキャリアにどれほどの利益をもたらすかについては、いまだに大きな不確実性が潜んでいると言えよう。

ウェブゲームが中国において今後どのように展開されていくか、中国IT企業の新たな収益源になれるかどうかは、これまで指摘してきた課題をいかに乗り越えていけるかにかかっている。ウェブゲームの今後の動向からは、当分目が離せない。