新しいフォームファクタに期待

フォームファクタはどうだろうか。スマートフォンは現在、世界的にストレートタイプが主流を占めるが、ユーザーの注目はスライダ式に集まっているようだ。Mawston氏によると、西欧州では、スマートフォンユーザーの55%が、次に買いたい端末としてスライダ式を選んだという。一方、ストレートタイプは20%上回る程度。「まったく新しいタイプ」と回答した人は50%。「ユーザーは、これまでにないデザインや形に興味を持っている」とMawston氏。「これがApple成功の要因のひとつ」ともMawston氏は続ける。「iPhoneはどちらかというと新しいフォームファクタで、タッチ画面を搭載した。これがユーザーには新鮮だったのではないか」とMawston氏。

Appleの次の戦略はセルラーノートPC?

最後にMawston氏は、今後の市場の競争について分析した。スマートフォン分野のリーダーといえるNokiaとRIMに挑戦するにあたり、「Appleは強力な挑戦者」とMawston氏。「ブランド、デザイン、技術、ユーザビリティ、サービス、これらすべてでリーダー的存在だ」(Mawston氏)。同社が行うユーザビリティテストでは、Symbianに対抗できるのはAppleだけだったという。「Appleは、全体のユーザビリティレベルを引き上げている」(Mawston氏)

Appleの課題は、次のヒットが出せるかだという。「一貫性、ユーザービリティを維持できるか、製品ポートフォリオを拡大できるかだ」(Mawston氏)

Mawston氏は、Appleの戦略は、クローズドOSワールドの成功、と分析する。「Appleは業界が向かう方向性を提示したーーポータブル、モバイル、エコシステム、ハードウェア、ソフトウェア、サービスすべてでた」(Mawston氏)

これに対抗するのがNokiaだ。Nokiaは、ノルウェーTrolltech買収により、クロスプラットフォーム開発プラットフォーム「Qt」を手に入れた。今後、サービスのポーティングを強化するだろうとMawston氏は予想する。

Mawston氏がAppleの次の手と予想するのが、ノート型へのセルラー無線技術の搭載だ。ハードルはいくつかあるが、これは新しいトレンドになるかもしれない、とMawston氏は予想する。

Appleのほかに、スマートフォン市場で競争するベンダとして、Mawston氏はHTC、Palm、Samsung、Motorolaなどを挙げた。

「経済状況が案じられているが、スマートフォン市場は今後も成長する」とMawston氏。終わりに、「コンテンツはクイーン、ユーザビリティがキング」と述べ、スマートフォン市場が成功するには、2つを一緒に実現させることが大切と強調した。