複数のHDDを連携させることで、1つのデータを2台以上に記録し冗長化することで、データが破損した場合でも回復が可能になるRAIDシステム。

台湾Infortrend Technologyは、1993年に設立されて以降、クリティカルな領域のアプリケーションにも対応可能なエンタープライズレベルのRAIDストレージソリューションの開発および製造販売を行ってきた。

現在は、ファイバチャネル(FC)、iSCSI、SAS、SATA、SCSIなど多くのインタフェースに対応するRAIDサブシステムを中心に据えビジネスを展開している同社の特長などを、同社General Manager,Asia Pacific Sales Div.で、インフォトレンドジャパンの代表取締役社長である呉志成(Scott Wu)氏に聞いた。

--そもそもInfortrendとはどのような会社なのでしょうか。

当社は、ソフトウェア、ハードウェア、ASIC設計、経営に関するそれぞれ4人のエキスパートがファウンダーとなって1993年に設立されました。その後、1996年までは基本的にASICの設計を中心とした技術開発に専念し、1997年より製品開発に注力、欧米での導入を果たすなど、2000年までの3年間で毎年100%以上の成長を果たしました。

2000年以降は、カスタマニーズに応じた製品展開を進め、現在はマーケットを重視した製品展開を進めているなど、面白い会社であると思っています。

私は2000年にInfortrendのPresident兼CEOのアシスタントとして市場分析を行うために入社しましたが、その際に面白い体験をしました。CEOに経営ビジョンを尋ねた際に「そのようなものは無い」という回答をもらったのです。それを聞いた瞬間は絶望し、離職も考えました。ただ、後日読んだものの本によると、過去大企業と呼ばれる企業のトップも安易に夢や希望は語らないということが書かれており、結果として、そういうことを表しているということを理解しました。

現在は、ビジョンはなんですかと聞かれれば、ビジョンがないわけではなく、ただ無心に「"今日は昨日に勝つ、明日は今日に勝つ"ということを考えてやっていくだけ」と答えています。

--では、現在の売り上げ規模と地域別の内訳はどのようになっているのでしょう。

2007年の売り上げは欧州と米国、そしてアジアで1/3ずつといったところです。日本はおよそ10%程度を占めています。ただ、2008年は欧州とアジアはそれほどでもないですが、米国市場が市況の影響を受けており、売り上げが落ちる見込みであり、最終的に横ばい程度の売り上げを維持できれば良いほうだと思っています。

日本市場については、それほど市況に影響は出ていません。ただ、これから出てこないとは限りませんので、さまざまな戦略を打ち出して対応を進め、市場が低迷する時でも成長率10%程度を維持できる会社へと成長させていきたいと思っています。

--貴社はRAIDサブシステムが主力製品ですが、現在の市場の動きはどのようになっているのでしょう。

これまでの経験としては、まず米国で先端技術が導入され、欧州そしてアジアという流れがあります。技術的にはSCSIからFCへの移行が進んでおり、2007年ころからiSCSIの市場が成長の兆しを見せ始めています。

そのため、今後はFCを中心に、iSCSIを育てていくという方針を取っていきます。2009年にはiSCSIの次世代製品を提供していく計画です。具体的には、データのプロテクションを図りたいカスタマへの導入を進めていくことを目指します。

特に日本市場では、それぞれに特化した分野での導入促進を目指すつもりです。例えば、ロングテールの考え方では、売り上げは上位20%が全体の80%を占めるというものですが、そのため競合各社の多くはその80%の市場を狙い製品を投入します。ただ、医療やメディア、HPC、イメージ処理といった特殊な分野では、それぞれの要求に応じた柔軟な対応をしなければならないため、画一的な製品では対応が難しいのが実情です。

Infortrendでも80%の市場を見逃すつもりはありませんが、それと同時に残りの20%の市場も柔軟さを売りにシェアを拡大していければと思っています。