NTTドコモら4社は16日、携帯電話向けのワンチップLSI「SH-Mobile G4」と、それを搭載した携帯電話プラットフォームについて、来年第1四半期(1~3月)をめどに共同で開発すると発表した。同LSIにより、アップロード速度の大幅向上と携帯電話端末のHD対応が実現する。
共同開発に参加するのはドコモに加えルネサス テクノロジと富士通、シャープの4社。ドコモとルネサスはこれまでも共同で、ベースバンドLSIとアプリケーションプロセッサをワンチップ化した「SH-Mobile G series」を2004年から開発しており、今回はその第4弾の製品となる。
SH-Mobile G4は、プロセスルールが45nmに進化し、高集積化や処理速度の向上を実現。動画処理ではHD動画をサポートするほか、3Dグラフィックの性能も向上し、より高度なアプリケーションを利用できるようになる。
通信はW-CDMA/HSDPA/HSUPA、GSM/GPRS/EDGEをサポートし、3Gと2Gのいずれもワンチップで対応する。特にW-CDMAの高速化規格の内、上り速度を高速化する「HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)」を利用可能になったことで、下り最大7.2Mbps、上り最大5.7Mbpsへと高速化する。従来、上り速度は384kbpsだった。
ドコモとルネサスでは、単にLSIを開発するだけでなく、OSやミドルウェア、ドライバなどの基本ソフトウェア群、リファレンスチップセットを一体化した「携帯電話プラットフォーム」までを開発しており、そこには富士通やシャープといった端末メーカーも参画していた。
こうした開発手法によって、端末の基本機能を独自開発する必要がなく、開発機関の短縮や開発コスト低減が可能になる。その上で端末メーカーは、ブラウザやメールなどといったアプリケーションや端末デザインなどで差別化に注力できるメリットがある。
なお、今回開発されるプラットフォームは、世界の携帯電話市場に対して、ルネサスから提供される予定だという。