IT機器の消費電力は年率10%増

様々な環境問題を抱える中国でも、省エネ化は重要なテーマだ。産業構造が違うので単純に比較しても仕方ないが、よく指摘される通り、同じGNPを得るのに中国は日本の8倍のエネルギーを必要とする。中国の省エネ化は中国自身にとっても、世界にとっても意義がある。

その中ではグリーンIT(中国語では「緑色IT」)も重要なテーマになっている。国家発展改革委員会の担当者は、IBM中国のカンファレンスで次のように述べている。

「IT機器の消費電力は毎年8~10%のペースで伸びており、2007年は推定、300~500億kWhの間。(世界最大の)三峡水力発電所の年間発電量に相当する。全体の40%をデータセンタが占める」

ちなみに、経産省の試算によれば、日本の総消費電力(およそ9000億kWh)に占めるIT機器の割合は5%というので、日本とほぼ同等だろう。

ただ、中国はITが普及する余地を大きく残す。CNNICが7月に発表した中国のネット人口は前年比56%増の2億5300万人で世界最多だが、世帯普及率は19.1%。一番高い上海でも45.2%と半数に至っていない。まだまだ伸びる。

現在、Alexaランキングのトップ50で中国語サイトは6つほどだが、今後は数も増え、総体的に順位も上がるのは間違いない。産業セクタを見ても、中国企業の圧倒的多数を占める中小はIT化が遅れているが、元高で国際競争力を維持するのが難しくなり、ITによる経営効率化は避けて通れなくなっている。そのため、IT投資の二桁成長は当面続きそうである。

中国でIT機器の消費電力が急ピッチで増えていくのは間違いない。ただでさえ、中国は電力需要の伸びを供給拡大でカバーしきれていない(今夏は各地で計画停電を実施)、コミットを課される可能性のあるポスト京都議定書のことを考えても、緑色ITの取り組みが活発化する土壌はある。