米Advanced Micro Devices(AMD)は10月7日(現地時間)、アブダビ首長国の投資会社であるAdvanced Technology Investment Company(ATIC)と共同で、半導体製造を専門に行う新会社「The Foundry Company」を設立すると発表した。これは業績不振にあえぐAMDにとって大きな固定費負担となっていた製造部門の切り離しを意味しており、海外企業からの投資を受け入れる形で経営効率化を実現、AMD本体はプロセッサ開発に専念する狙いがある。

Foundry Companyの設立にあたり、AMDは同社がドイツのドレスデンに保有する2つのFabと関連資産ならびに知的財産を新会社へと移行させる。ATICはFoundry Company設立に際して21億ドルを支払うことになる。この21億ドルのうち、7億ドル分が新会社設立の投資にあたり、14億ドル分が同社株取得に充てられる。同時にATICは約12億ドルの支払いでAMDの債務を肩代わりする見込みだ。Foundry Companyの資本比率はAMDが44.4%、ATICが55.6%となり、独立系の半導体製造会社として米国に拠点を置く企業としてスタートすることになる。またAMDは同日、ATICと同様にアブダビ首長国の投資会社であるMubadala Development Companyからの資本受け入れも発表している。Mubadalaは3億1400万ドルを支払う代わりにAMDから新株発行ならびにワラントを受け取り、同社株の保有比率を19.3%まで高める。

AMDによれば、Foundry Companyは独立企業体として動く半導体製造企業では米国で唯一の最新技術に対応したメーカーになるという。ATICでは今後5年で36億ドルから60億ドル規模の段階的な投資を行い、Foundry Companyの製造能力増強に努める。投下された資本はドレスデン工場の製造キャパシティ強化のほか、2つのFabのうちの一方を最新の製造プロセスに対応に使用される。またAMDが以前にIBMと共同で発表した米ニューヨーク州でのFab設立計画も、今回の資本増強とFoundry Company設立で続行が可能となった。同Fabは2010年の稼働を目標に同州サラトガ群で建設が進められているもので、32nm製造プロセスに対応したFabになるとみられている。同Fabが稼働することで内部の従業員1400人のほか、関連業務で同地域内に5000以上の雇用が新たに生まれることになるとAMDでは説明する。

今回の発表でAMDは資金的バックアップを得られただけでなく、懸案事項だった維持費の高い製造部門を切り離し、純粋にプロセッサの設計に専念することができるようになった。特に近年は半導体製造プロセスの微細化で技術開発コストも激増しており、体力の少ない半導体メーカーは製造設備を維持するのが困難になっている。最新製造プロセスに対応した製造専門会社が登場したことで、こうした課題や需要を吸収し、米国メーカーの市場での競争力を高めることが可能になる。