コントロンテクノロジージャパンは12日、同社が扱う独Kontronの組込み向け新製品について、プレス向けに説明会を開催した。Intel Atomプロセッサを搭載するMini-ITXマザーボード「KTUS15/mITX」などが紹介された。

「KTUS15/mITX」はモバイル向けのAtom Z500シリーズを搭載

コントロンテクノロジージャパン(KTJ)は、ダイトエレクトロンとKontronの合弁会社として、2005年に設立された(主要株主はこの2社で、現在の比率はダイトエレクトロンが74.5%、Kontronが22.5%)。日本国内では、以前はコントロンシステムジャパン(現クアンマックスジャパン)もKontron製品を扱っていたが、現在はKTJのみとなっている。

同社の山中高志社長は「ちょうど来月でKTJは丸3年。4年目は勝負の年だと思っている」と挨拶。「なんとか3年間でメシが食えるところまできたが、来年は大きく羽ばたこうと、社員一同で頑張っている」と意気込みを述べた。

コントロンテクノロジージャパンの山中高志社長

KontronのTom Meyerアジア担当バイスプレジデント

続いてKontronについて、同社のTom Meyerアジア担当バイスプレジデントが説明した。「"Intel Inside"というロゴがあるが、ここでは"Kontron Inside"の話をしたい」とMeyer氏。オートメーション・運輸・医療・エネルギーなど、多くの分野のシステムにKontron製品が組込まれていることを紹介した。

組込みコンピュータには、様々なフォームファクタが存在しているが、今後はAMC(AdvancedMC)、ATCA(AdvancedTCA)、COM(Computer-On-Module)で高い成長が期待できるという。一方、歴史のあるPCI製品の成長は頭打ちであるが、需要は引き続き高くなる見込みで、「作り続ける必要がある」とした。

各フォームファクタの成長予測。全体では10%程度の成長が期待できるという

分野別のKontronの売り上げ(左)。地域別(右)に見ると、欧州が半分を占める

さて新製品についてだが、まず紹介されたのはAtom搭載のMini-ITXマザーボード「KTUS15/mITX」。この製品には、ZシリーズのAtomとUS15チップセットが搭載されており、消費電力が非常に小さいのが特徴だ。CPU+チップセットでわずか4.3W、ボード全体でも、Z510(1.1GHz)搭載モデルは13.5W、Z530(1.6GHz)搭載モデルは16W程度になりそうとのこと。

Mini-ITXマザーボードの「KTUS15/mITX」

ロープロファイルも特徴。最高でも16mm

拡張スロットはPCI Express x1が2つ、PCIが1つ

裏面にはSDカードスロットも2つ用意されている

サンプルはすでに受け付けており、量産は11月末に開始される予定。情報端末やゲーム機などへの採用が決まっており、すでに数件、デザインに入っているものがあるそうだ。

KTUS15/mITXには2種類のバリエーションがある

続いて紹介されたのが、こちらもAtomを搭載する「nanoETXexpress-SP」。ボードサイズが84×55mmのnanoETXexpressフォームファクタの製品で、ボード上にCPU、チップセット(グラフィック内蔵)、メモリなど、PCとして必要なコンポーネントを全て実装。裏面にCOM Express Type 1互換のコネクタがあり、ベースボードなどに載せて利用できる。

カードサイズの「nanoETXexpress-SP」。消費電力はボード全体でわずか7W

裏面にコネクタがある。Kontronからはベースボードも提供されている

そして95×95mmと、一回り大きいmicroETXexpressフォームファクタにも、Atomベースの「microETXexpress-SP」が新登場。こちらのコネクタはCOM Express Type 2互換。CPUとチップセットは前述のnanoETXexpress-SPと同じだが、PATAポート、PCIインタフェース(ブリッジを搭載)、SDカードスロットなど、拡張性はより高くなっている。

フォームファクタの比較。より大きいサイズの「ETXexpress」もある

「microETXexpress-SP」のスペック。こちらも消費電力は7W