Intelアーキテクチャの柔軟性が生きるLarrabee

Larrabeeについては、 シニアプリンシパルエンジニアのLarry Seiler氏がSIGGRAPHでの発表をおよそ45秒のスピーチにまとめて一気に説明した。その上でレンダリングパイプラインを拡張できるLarrabeeの可能性として、複数のレイヤのソーティングやIrregular Zバッファなどの効果を示した。Larrabeeはグラフィックス市場をターゲットにした製品が2009~2010年に登場する見通しだが、同時にメニーコア・コンピューティングへの道を切り開く存在にもなる。長期的にはネイティブなC /C++プログラミング・モデルの利点を活かし、科学・エンジニアリングソフトウェアなど高度な並列アプリケーションに範囲を広げることになるだろう。ここでもIntelアーキテクチャの"一貫性"が開発者サポートのポイントになる。

シニアプリンシパルエンジニアのLarry Seiler氏(左)

Larrabeeのブロックダイヤグラム

レイヤがソーティングされているため、半透明の大きなドラゴンの羽に小さなドラゴンがきちんと透けている

Irregular Zバッファによって、影のジャギーが低減されている

従来のハードウエア・レンダリングパイプラインで見られた直列化のボトルネック(左)がプログラマブルなLarrabeeでは解消される

第4のインターネットの波はEmbedded Internet

今回、新市場開拓戦略として、「Embedded Internet」が打ち出された。コミュニケーション機器、ホームオートメーション、車載インフォテインメントなど、インターネットに常時接続しながら機能する組み込み機器を指す。これまでにもIntelはインターネットを基盤に、Intelアーキテクチャを組み込み市場に広げる考えを明らかにしてきたが、Embedded Internetは、その方針をより明確にビジョン化して推し進めるものになる。同社はEmbedded Internetデバイス市場が2011年には100億ドルの規模を超え、2015年には150億台の機器がインターネットに接続するようになると予測。このようなローエンドCPU市場の広がりがIntelだけではなく、ハイテク産業全体の成長を促す原動力になると期待する。

今日のインターネットはユビキタスを実現し始めた第3ステージ

生活のあらゆる場にEmbedded Internetデバイスが存在するように

Embedded Internetに向けて、IPv6への移行、プライバシー問題/セキュリティ、標準技術の採用など解決すべき問題も多い

IntelアーキテクチャをベースにしたSoCプロセッサのロードマップ。現在Atomを採用した700以上の組み込みデザインが進行中で、そのほとんどがIntelにとって全く新しいビジネスだという

「Menlow」プラットフォームを見せるGelsinger氏

Embedded Internetの例1:セキュリティシステム。IAベースだからAdobe Flash技術をフルサポート

Embedded Internetの例2:ホームコントロールシステム

Embedded Internetの例3:IPメディアフォン

インフォテインメントの拡大もEmbedded Internetの成長を促す要因に

Embedded Internetの例4:BMWのAtomベースのナビゲーション/エンターテインメント・システム