ワイズスタッフ 代表取締役社長 田澤由利氏

インターネットを活用し、有能な人材がチームを組み、プロジェクトを進める"ネットオフィス"の概念に基づき運営する企業・ワイズスタッフを今から10年前に起ち上げた同社代表取締役社長の田澤由利氏。"テレワーク"にいち早く目をつけた女性起業家としてメディアにも注目されるほか、厚生労働省の在宅就業問題研究会委員をはじめ、テレワークや地域活性化の有識者としての公職活動も積極的に行い、テレワーク普及推進に務める同氏に、テレワークに対する思いや取り組みについて話を聞いた。

大学卒業後、シャープに入社し、パソコンの技術、企画、販売促進等の業務に従事していた田澤氏。その後、結婚・出産により、退職を余儀なくされた同氏は、フリーライターとして独立し、3人の子育てをしながら、夫の5度の転勤による引越しを経験しながら、テレワーカーとして、パソコン関連の書籍や雑誌記事の執筆を続けていた。

ところがそのうちに、周囲に結婚・出産により働き続けることができなくなった女性が大勢存在することを実感。埋もれている有能な労働力を活かすために、テレワークで仕事の機会を提供する場を作りたいと、起業に思い立ったという。「当時は"在宅ワーカー"と言うと、夫の収入で生活している主婦が片手間でやるような副業的なイメージが強かった。加えて、悪徳事業者も多く存在し、テレワークという働き方の意義に答えが出せずにいた。それでも会社化しようと思ったのは、テレワークで仕事が成り立つということをちゃんと証明することが必要だったから」と、田澤氏は会社設立の背景を説明する。